簡勁かんけい)” の例文
ドビュッシーほど詩はないが、ドビュッシーよりはリアリスティックで技巧はもっと精微せいちであり簡勁かんけいでもあった。レコードはおびただしい。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
が、それにもかかわらず、この小説は内部に蔵された精神の逞ましさと、簡勁かんけいな表現の緊密さにおいて、驚くばかり芸術的な名作である。
彼は和歌の簡単を斥けて唐詩の複雑を借り来れり。国語の柔軟なる、冗長なるに飽きはてて簡勁かんけいなる、豪壮なる漢語もて我不足を補ひたり。
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
「熊城君、これが½を表わす上古埃及コプチックの分数数字だとしたら、僕の想像もまんざら妄覚ばかりじゃあるまいね」と簡勁かんけいに結んで、それから鎮子に云った。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
かくして悪人衰退滅亡の状態は簡勁かんけいに、順序正しく描き出されたのである。誠にビルダデ独特の筆法である。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
云はば日本の神隠かみかくしに、新解釈を加へたやうなものです。これはそのビイアスが、第四の空間へはひる刹那せつなまでも、簡勁かんけいに二三書いてゐる。ことに或少年が行方ゆくへ知れずになる。
近頃の幽霊 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
普通の法衣の如く輪袈裟わげさをかけ、結跏趺座けっかふざして弥勒のいんを結びたるが、作者の自像かと思わるるふしあり。全体の刀法すこぶ簡勁かんけい雄渾ゆうこんにして、鋸歯状きょしじょう、波状の鑿痕さっこん到る処に存す。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
いわんや上代の古朴こぼく簡勁かんけい、悲壮、優麗なる響きは微塵みじんもなく、外国の物質文明を吸収することはかなり進んでいたが、その文学を紹介し、これを味わうものなんぞはありはしない。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
この歌は人麿と同時代であろうが、人麿に無い簡勁かんけいにして静和な響をたたえている。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
無駄を避け簡勁かんけいを旨とする鴎外の文章にわずらわしい修辞を容れるはずもない。
かくの如き日本の婦女日常の動作を描かんとするや筆力を主とする簡勁かんけいなる手法にのみ拠るべきものならず、極力きょくりょく実地の写生に基き各種の動作に伴ふ見馴みなれたる手付てつき姿勢態度を研究せざるべからず。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
国語の柔軟なる、冗長なるに飽きはてて簡勁かんけいなる、豪壮なる漢語もてわが不足を補いたり。先に其角一派が苦辛して失敗に終りし事業は蕪村によって容易に成就せられたり。
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
この意味において、スレザークは、明朗簡勁かんけいなシューベルトのものを、しばしば歌い過ぎて法のつかぬものにすることがある。彼のルバートは、その巧妙さにわざわいされて実に猛烈だ。
小倉こくらの袴をはいた学生は、慇懃いんぎんに、かう答へた。——だから、先生はストリントベルクが、簡勁かんけいな筆で論評を加へて居る各種の演出法に対しても、先生自身の意見と云ふものは、全然ない。
手巾 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
蕪村の簡勁かんけいと適切とに及ばざる遠し。
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
蕪村の簡勁かんけいと適切とに及ばざる遠し。
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)