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穹窿
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きゅうりゅう
ふりがな文庫
“
穹窿
(
きゅうりゅう
)” の例文
十五人の男の歩く足音は、
穹窿
(
きゅうりゅう
)
になっている廊下に反響を呼び起して、丁度大きな鉛の弾丸か何かを
蒔
(
ま
)
き散らすようである。
罪人
(新字新仮名)
/
ミハイル・ペトローヴィチ・アルチバシェッフ
(著)
すると
天
(
そら
)
の
穹窿
(
きゅうりゅう
)
のようなものが出来あがる。一つの大きな月と、それを取り巻いている
沢山
(
たくさん
)
の小さな星たちと。ところがこの月は成功しない。
チェーホフの短篇に就いて
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
臭気孔は、衛生にとっても伝説にとっても共に
嫌悪
(
けんお
)
すべきものだった。大入道がムーフタールの下水道の臭い
穹窿
(
きゅうりゅう
)
の下に閉じ込められていた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
正面に駅への入口のいくつかの
穹窿
(
きゅうりゅう
)
形に切り取られて、あふれ出すように明るい青空が光っている。客はまぶしいその光を背負って入ってきた。
その一年
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
真青なバナナを盛り上げた船が
襤褸
(
ぼろ
)
と竿の中から、
緑青
(
ろくしょう
)
のようににじみ出て来ると、橋の
穹窿
(
きゅうりゅう
)
の中へ這入っていった。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
▼ もっと見る
きのう、片桐の部落を離れるころ、澄明な空気は全く熟して、蒼い
穹窿
(
きゅうりゅう
)
は太陽の送る光のミサに氾濫していた。
二つの松川
(新字新仮名)
/
細井吉造
(著)
川の岸が、
涜
(
けが
)
されたことのない処女の純潔に
譬
(
たと
)
えてもいいように、真っ白くなっているので、橋の
穹窿
(
きゅうりゅう
)
の下は一層暗く見えた。しかしほどなく目が闇に馴れた。
橋の下
(新字新仮名)
/
フレデリック・ブウテ
(著)
わたつみの海の
千
(
ち
)
ひろの底にしておのずからわが身にふさえる家をもち、ほどよい青の光の国に、あるいは
螺鈿
(
らでん
)
の
穹窿
(
きゅうりゅう
)
のしたに、またはひとつ柱の迷宮のうちに
小品四つ
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
コリント風の柱、ゴシック風の
穹窿
(
きゅうりゅう
)
、アラビアじみた
市松
(
いちまつ
)
模様の
床
(
ゆか
)
、セセッションまがいの
祈祷机
(
きとうづくえ
)
、——こういうものの作っている調和は妙に野蛮な美を
具
(
そな
)
えていました。
河童
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
けれども、その扇形をした
穹窿
(
きゅうりゅう
)
の下には、依然中世的好尚が失われていなかった。楽人はことごとく
仮髪
(
かつら
)
を附け、それに眼が
覚
(
さめ
)
るような、朱色の衣裳を着ているのである。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
その青空の上に
浮
(
うか
)
んで、昨日も今日も、さびしい一つの凧が揚っている。
飄々
(
ひょうひょう
)
として
唸
(
うな
)
りながら、無限に高く、
穹窿
(
きゅうりゅう
)
の上で悲しみながら、いつも一つの遠い追憶が漂っている!
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
壁の上にはこれを覆う
穹窿
(
きゅうりゅう
)
すなわち天が安置されている、これはマルドゥクが堅硬な金属で造ったもので、昼間は太陽の光に輝いているが、夜は暗碧の地に星辰をちりばめた釣鐘に似ている。
宇宙の始まり
(新字新仮名)
/
スヴァンテ・アレニウス
(著)
この幕は最前曲馬場の
穹窿
(
きゅうりゅう
)
から垂らしてあった大旗と同じ図案であろう。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
どんよりした色の家並み、ある
穹窿
(
きゅうりゅう
)
や堂宇の線の凡俗さ、今まで私の気に止まらなかったそれらのものが、ひどく私の気持を害しました。精神上の
雰囲気
(
ふんいき
)
も私には、それに劣らず不愉快なものでした。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
しかし岩壁が
穹窿
(
きゅうりゅう
)
になって、百の洞を作っているから
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
その二つの
穹窿
(
きゅうりゅう
)
、ことに新しい方の一七四〇年のは、
囲繞溝渠
(
いじょうこうきょ
)
の
漆喰工事
(
しっくいこうじ
)
よりもいっそう
亀裂
(
きれつ
)
や崩壊がはなはだしかった。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
彼の眼前に現われた一つの驚くべきもの以外の世界は——座席の
背長椅子
(
バルダキン
)
も、頭上に
交錯
(
くみかわ
)
している扇形の
穹窿
(
きゅうりゅう
)
も、まるで嵐の森のように揺れはじめて、それ等がともども
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
天井の
穹窿
(
きゅうりゅう
)
の高さ、奥庭に面した廻廊の様式、さういふ細部を私は熱心に思ひ描いた。
母たち
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
曲馬場内の五個所から斜めに突き出た軍艦のマストに
擬
(
まが
)
う大支柱と、その大支柱から分岐した数十本の小支柱とで、巧みに釣り上げられた大天幕の
穹窿
(
きゅうりゅう
)
の無数の隙間からは、晴れ渡った空の光りが
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
夜
(
よ
)
の
穹窿
(
きゅうりゅう
)
の下に分けて遣られる。あるものは
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
そして二列の兵士らのあいだを
穹窿
(
きゅうりゅう
)
の下へ、大股にはいりこんでいった。私の通り路にはすでに人だかりがしていた。
死刑囚最後の日
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
頭上はるか
扇形
(
おうぎがた
)
に集束されている
穹窿
(
きゅうりゅう
)
の辺にまで達していた。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
上
(
かみ
)
なる
穹窿
(
きゅうりゅう
)
にいます、めでたき女神よ。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
時とすると水の流れが突然現われてきて、始められたばかりの
穹窿
(
きゅうりゅう
)
を突きこわし、人夫らを
溺
(
おぼ
)
らすこともある。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
そこでは、暗黒のうちにつっ立って、
靄
(
もや
)
のこめた
穹窿
(
きゅうりゅう
)
の下に、影のためにおぼろな丸天井の下に、大会堂のように高く、バベルの塔のようにおごそかな祭壇がそびえている。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
大きな門の
穹窿
(
きゅうりゅう
)
の下を通る時重々しい音をたて、それから並木道に出た。ビセートルの重い門扉は馬車の後ろにまた閉ざされた。私はただぼうぜんとして自分が運び去られるのを感じた。
死刑囚最後の日
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
未来の社会の
穹窿
(
きゅうりゅう
)
は、その醜い要石がなくても崩れはしないだろう。文明というものはあいついで起こる一連の変更にほかならない。いま人が直面しようとするのは、刑罰の変更にである。
死刑囚最後の日
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
“穹窿(ヴォールト)”の解説
ヴォールト(en: vault、la: camera、ar: قبو)とは、アーチを平行に押し出した形状(かまぼこ型)を特徴とする天井様式および建築構造の総称である。日本語では穹窿(きゅうりゅう)と訳される。
(出典:Wikipedia)
穹
漢検1級
部首:⽳
8画
窿
漢検1級
部首:⽳
17画
“穹窿”で始まる語句
穹窿形
穹窿型
穹窿状
穹窿門
穹窿天井