眺望てうばう)” の例文
小山と小山との間に一道の渓流けいりう、それを渡り終つて、猶其前に聳えて居る小さいみねを登つて行くと、段々四面あたり眺望てうばうがひろくなつて
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
いつも両側のよごれた瓦屋根かはらやね四方あたり眺望てうばうさへぎられた地面の低い場末ばすゑ横町よこちやうから、いま突然とつぜん、橋の上に出て見た四月の隅田川すみだがは
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
二十はたちはるゆめらして、落花らくくわゆふべになにごとをおもひつきてか、令孃ひめ別莊住居べつさうずまゐしたきねがひ、鎌倉かまくら何處どことやらに、眺望てうばうえらんで去年こぞはれしが、はなしのみにてぬもゆかかしく
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
川向かはむかうは日の光の強いため立続たちつゞ人家じんか瓦屋根かはらやねをはじめ一帯の眺望てうばうがいかにもきたならしく見え、風に追ひやられた雲の列がさかん煤煙ばいえん製造場せいぞうば烟筒けむだしよりもはるかに低く、動かずに層をなしてうかんでゐる。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
見ると、中々好い眺望てうばうである。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)