盛岡もりおか)” の例文
山男、西根山にしねやまにて紫紺のり、夕景ゆうけいいたりて、ひそかに御城下ごじょうか盛岡もりおか)へ立ちそうろううえ材木町ざいもくちょう生薬商人きぐすりしょうにん近江屋源八おうみやげんぱち一俵いっぴょう二十五もんにて売りそうろう
紫紺染について (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
盛岡もりおかまで二十銭という車夫あり、北海道の馬より三倍安し。ついにのりて盛岡につきぬ。久しぶりにて女子らしき女子をみる。一体土地の風俗温和にていやしからず。
突貫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
盛岡もりおかの町には大きな店構えが並び今も仕事を続けます。名を広めましたので随分遠くまで品物は運ばれて行きます。従って技術も進み様々な作り方が考えられました。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
三月十日の未明、本所ほんじょ深川ふかがわを焼いたあの帝都空襲の余波を受けて、盛岡もりおかの一部にも火災が起きた。丁度その時刻には、私は何も知らずに、連絡船の中でぐっすり寝ていた。
I駅の一夜 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
遠野にては時鳥のことを庖丁かけと呼ぶ。盛岡もりおか辺にては時鳥はどちゃへ飛んでたと啼くという。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
三春みはるの三帥社、会津あいずの愛身社、相馬そうまの北辰社、磐城いわきの興風社、酒田さかたの尽性社、盛岡もりおかの求我社、仙台の鶴鳴社、福島県下の岩磐二州会などは、日本にはじめての政治結社であった。
青森の町は盛岡もりおかぐらいだった。停車場ていしゃじょうの前にはバナナだの苹果りんごだの売る人がたくさんいた。待合室まちあいしつは大きくてたくさんの人が顔をあらったりものを食べたりしている。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
汽車はやみのなかをどんどん北へ走って行く。盛岡もりおかの上のそらがまだぼうっと明るくにごって見える。黒いやぶだの松林まつばやしだのぐんぐんまどを通って行く。北上きたかみ山地の上のへりが時々かすかに見える。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ぐんから土性調査どせいちょうさをたのまれて盛岡もりおかから来たのですが。)
泉ある家 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
盛岡もりおか産物さんぶつのなかに、紫紺染しこんぞめというものがあります。
紫紺染について (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)