病家びょうか)” の例文
この食物はこうして料理すれば消化吸収がすみやかだという事を知っていて病家びょうかの人に注意するだけでも非常な利益になる。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
同侯爵邸が木村博士の病家びょうか先であるのを幸いに、腹心の徒の村田を書生に住みこませてとうとう盗みださせました。
紫外線 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
源内が机の側から細いあごを見せると、下婢かひを外へ残して、つつましやかに入ってきた若い女は、病家びょうかの者であろう
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
院長いんちょうアンドレイ、エヒミチはとうからまち病家びょうかをもたぬのを、かえっていいさいわいに、だれ自分じぶん邪魔じゃまをするものはいとかんがえで、いえかえると書斎しょさいり、書物しょもつ沢山たくさんあるので
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
其のは存外の御無沙汰を致しました、ちょっとうかゞうべきでございましたが、如何いかにも麻布辺からの事ゆえ、おッくうでもありかつ追々おい/\お熱く成って来たゆえ、藪医やぶいでも相応に病家びょうかもあり
二度とも鎌倉のある病家びょうかへ往診に来たついでだという事であった。二度目の時竜子は母と先生と三人して海水を浴びに行った。晩食ばんめしをも一緒にすましてから先生は最終列車で東京へ帰る。
寐顔 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
こんな事は病家びょうかばかりの罪でない、お医者さんさえ悪くするとスープの拵え方を知らない人も沢山ある。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
かれまち沢山たくさん病家びょうか顧主とくいっている。で、かれ自分じぶん心窃こころひそか院長いんちょうよりはるか実際じっさいにおいて、経験けいけんんでいるものとみとめていた。なんとなれば院長いんちょうにはまち顧主とくい病家びょうかなどはすこしもいのであるから。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)