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甚之助殿
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じんのすけどの
つれなく
返へされなば
甲斐もなきこと、
兎角に
甚之助殿の
便り
聞きたしと
待けるが、
其日の
夕方彼の
人形を
持ちて
例日よりも
嬉しげに、お
前の
歌ゆゑ
首尾よく
我が
勝に
成り
知らじとて
令孃も
免るされまじ、さらでもの
繼母御前如何にたけりて、どの
樣の
事にまで
立いたるべきか、
思へば
我が
思慮あさはかにて、
甚之助殿に
頼みしは
萬々の
不覺なりし
この一
家に
令孃ありと
見て
心を
盡くす
者なく、
有るは
甚之助殿と
我れ
計なる
不憫しさよ、いざや
此心筆に
言はして、
時機よくは
何處へなりとも
暫時伴なひ、
其上にての
策は
又如何樣にもあるべく