“琢磨(たくま)” の例文
ケダシ士君子(しくんし)万巻(ばんかん)ヲ読破スルモマタ須(すべか)ラク廟堂ニ登リ山川(さんせん)ヲ看(み)交(まじわり)ヲ海内(かいだい)名流ニ結ブベシ。然ル後気局(ききょく)見解自然ニ濶大(かつだい)ス、良友ノ琢磨(たくま)ハ自然ニ精進(せいしん)ス。
小説作法 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
「では、如何なる苦行を積み、琢磨(たくま)の功を経ましても、所詮この大望は遂げられまいと仰っしゃりますか」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
隣室に詰めていた蜈蚣衆、その頭領の琢磨(たくま)小次郎が、黒小袖に黒頭巾、黒の鼻緒の草鞋(わらじ)を穿(は)き、黒の伊賀袴(ばかま)に黒手甲(てっこう)、眼だけ頭巾の隙から出し、膝行(しっこう)して末座へ平伏した。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
一、文学専門の人といへども自ら誇り他を侮(あなど)り研究琢磨(たくま)の意なき者は第二期を出づる能はず。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
このように非凡の健康と精力とを有して、その寿命を人格の琢磨(たくま)と事業の完成とに利用しうる人びとにあっては、長寿はもっとも尊貴にしてかつ幸福であるのは、むろんである。
死刑の前 (新字新仮名) / 幸徳秋水(著)
そうしてなお凡人大衆の生活を俳諧とする、古くからの言い伝えに忠実であったことである。それから最後には描写の技術の大いなる琢磨(たくま)、殊に巧妙という以上の写実の親切である。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ただ人気があったというだけにしてその後の研鑽琢磨(たくま)を投げすててしまい、川上の借財をかえしたのと、立派な葬式を出したのと、石碑を建てたからよい引きしおであるというだけが
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
然(しか)し、三四年前に半年あまり一緒(しよ)に萩(はぎ)原淳(じゆん)七段(だん)の高弟(?)となつて大(おほ)いに切磋(さ)琢磨(たくま)したのだが、二人とも一向(こう)棋(き)力が進(しん)歩しない所まで似(に)てゐるのだから、聊(いさゝ)か好敵(こうてき)手過(す)ぎる嫌(きら)ひもある。
言語は精神を琢磨(たくま)し、これを輝かせるけれども、言語そのものに光はない。
二十歳のエチュード (新字新仮名) / 原口統三(著)
筑豊の炭坑王と呼ばれた新張琢磨(たくま)の第二号に出世し、間もなく一号を見倒して本妻に直ると、今度は主人琢磨の急死に遭い、そのまま前科者二千余人の元締ともいうべき炭坑王の荒稼ぎを引き継いで
女坑主 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
打擲(ちょうちゃく)は琢磨(たくま)だ、そうだ琢磨だ。真理の珠はさらに輝こう。肉よ千切れよ、血よ滴れよ。この身は猛火に焼け爛(ただ)れよ。仏陀(ほとけ)の慈悲は止む時はない。仏陀に縋れ仏陀の慈悲に! そうして禁慾同盟をせよ。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
不動画く琢磨(たくま)が庭の牡丹かな
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
不動画(ゑが)く琢磨(たくま)が庭の牡丹かな
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)