珍奇ちんき)” の例文
どんなに、しずんだおじょうさんでも、わたしってきた、宝石ほうせきをごらんになれば、こおどりしておよろこびなさるにちがいありません。それほどうつくしい、珍奇ちんきなものばかりです。
笑わない娘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
天下のひろきには珍奇ちんきなる事おほきものなりけり云云。是も奇石きせきの一るゐなれば筆のついでにしるしつ。
近世きんせいでは、いぬ使命しめいといふこと左迄さまで珍奇ちんきことではないが、それとこれとは餘程よほど塲合ばあひちがつてるので、二名にめい水兵すいへいあやぶみ、武村兵曹たけむらへいそううでこまぬいたまゝじつ稻妻いなづまおもてながめた。
進歩的の金魚商は特に異種の交媒こうばいによる珍奇ちんきな新魚を得て観賞需要の拡張を図ろうとした。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
文珠岩の如きはじつに奇中のたるものなり、要するに人跡未到のなるを以て、動植物及鉱物共におほいに得る所あらんとするをせしなれ共、右の如く別に珍奇ちんきなる者を発見はつけんせざりき
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
ふたりが天窓まで這っていってなかを覗くと、ほの暗い電灯のなかに、珍奇ちんき仏像ぶつぞうや、奇怪な大時計や、古めかしいよろいなど、さまざまな骨董品が、ところせまきまでにならんでいた。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
天下のひろきには珍奇ちんきなる事おほきものなりけり云云。是も奇石きせきの一るゐなれば筆のついでにしるしつ。