狂気きちがひ)” の例文
旧字:狂氣
これおちやう母様おつかさんのいふ事も兄様にいさんのおつしやる事もお前は合点がてんかないかい、狂気きちがひやうな娘を持つたわたしなんといふ因果であらうね。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
あんたみたいな狂気きちがひ女ででもなけれあ、どうして首を縊つたりなんぞ出来るものか! あのひとは身投げをしたのさ! 氷の穴から身を
蜜蜂は箱から取り出されて、美しい香気にほひを嗅ぐと狂気きちがひのやうに花の中を転げ廻つたが、何時いつまで待つても蜜をこしらへようとはしなかつた。
娘が嫁うとした所で松島さん、山木もだ社会党を婿むこに取る程狂気きちがひにはなりませんからな、マア/\御安心の上、一日も早く砲火ひぶたを切つて私共わたしどもまうけさして下ださい
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
狂気きちがひの身にして見ると随分気づよいものと恨まれる、女といふものはもう少しやさしくても好い筈ではないかと立てつづけの一ト息に、おぬひは返事もしかねて、わたしは何と申てよいやら
ゆく雲 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
よしなんとでも言へ、昨日きのふ今日けふ二世にせかけてちぎりむすんだ恋女房こひにようばうがフト掻消かきけすやうに行衛ゆくゑれない。それさがすのが狂人きちがひなら、めしふものはみな狂気きちがひあついとふのもへんで、みづつめたいとおもふも可笑をかしい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)