焦心じれ)” の例文
うずうずして独りで焦心じれていると、ふと椽側にバタリバタリと足音がする。其足音が玄関へ来る。確かに雪江さんだ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
いゝえ、いゝえ!冐險談ばうけんだんき』つてグリフォンは焦心じれッたさうに、『説明せつめいなンて、時間じかんばかりかゝつて仕方しかたがない』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
焦心じれだして、この上は、外に出て彼奴きゃつらの間道をたずねるか、張番の男を締めあげて問いただしてみる方が早手廻し——と急いでそこを飛びだしてくる。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この時焦心じれきって居りましたし、兄が昨晩ゆうべ並木どおりで乞食から貰った銀笛だなどと、よしや私が云った所で迂散に思われるに違いない! 第一、私達の家柄として、乞食から物を貰ったなどと
西班牙の恋 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
これは焦心じれる方が無理である。下情しもざまのことに通じぬ人とすれば無理はないが、こなたは急ぐに不利な女駕であるし、先のは、飛ぶべく軽快にできている四ツ手駕。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あいちやんは芋蟲いもむしがこんなつまらぬねんすのですこ焦心じれッたくなつて、やゝ後退あとじさりしてきはめて眞面目まじめかまへて、『おまへこそだれだ、一たいさきはなすのが當然あたりまへぢやなくッて』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
靴底魚したひらめうなぎとでサ、勿論もちろん』とグリフォンは焦心じれッたさうにこたへて、『えびけ』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)