無作法ぶさほう)” の例文
他の火星人は、先生と丸木とをとおまきにして、つっ立っている奴もあれば、無作法ぶさほうにもごろんと地面に寝そべっている者もあった。
火星兵団 (新字新仮名) / 海野十三(著)
普通の会の時のように、無作法ぶさほうなふるまいは見受けられなかったけれども、それでも多少込み合うので、女はすわったなり席を立たないのがあった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いかに印刷が容易なればとてこんな本を出版し自己の狭隘きょうあいなる趣味をもって他人にいんとするは無作法ぶさほう仕業しわざなりという人あらん。されどあえて答う。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「そんなひよりげたで庭へはいっちゃいかん、雨あがりの庭をふみくずしてしまうじゃないか。どうも無作法ぶさほうなやつじゃなあ、こら、いかんというに……」
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
このひとは、どっか大きなとこの娘で、病気——ばかのようなので、髪をらして遊ばせてあるのだろう、だから、あんなに無作法ぶさほうなのだと——そう思えたほど
「お目どおりいたすものは、根来小角ともうすものです。今日こんにち雑人ぞうにんどもが、れいをわきまえぬ無作法ぶさほうをいたしましたとやら、ひらにごかんべんをねがいまする」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いま開け放しておいたふすまから七つ八つの、いずれも穏かならぬかおがさいぜんから現われて、この無作法ぶさほうな浪士の後援をつとめていたのがいま一斉いっせい弥次やじり出した。
ほかのものがかれの位置いちかれたのだったら、きっとわたしにそれをたずねたであろうけれども、カピはそんな無作法ぶさほうをするには、あんまりよくしつけられていた。
煙草すぱすぱ長煙管ながギセル立膝たてひざ無作法ぶさほうさもとがめる人のなきこそよけれ。
桑中喜語 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
大麦は苅られ、小麦は少し色づき、馬鈴薯や甘藷さつまいも草箒くさほうきなどが黒い土をいろどって居る。其間をふといはりがねを背負って二本ずつ並んで西から北東へ無作法ぶさほうに走って居るのが、東京電燈の電柱である。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
茂兵衛 俺あ無作法ぶさほうだ。仁義は受けねえ。
一本刀土俵入 二幕五場 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
それがどうである、産土の境地の一端をけずって無作法ぶさほうにまっすぐに、しかも広く高く砂利まで敷いてある。
落穂 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
主人のうちへ来てこんな大きな声と、こんな無作法ぶさほうな真似をやるものはほかにはない。迷亭にきまっている。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
すると迷亭は「イヨー大分だいぶふとったな、どれ」と無作法ぶさほうにも吾輩の襟髪えりがみつかんで宙へ釣るす。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「ふうん」と和尚おしょうは腕組を始めた。ゆきが短かいので太いひじ無作法ぶさほうに見える。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
風流を盛るべきうつわが、無作法ぶさほうな十七字と、佶屈きっくつな漢字以外に日本で発明されたらいざ知らず、さもなければ、余はかかる時、かかる場合に臨んで、いつでもその無作法とその佶屈とを忍んで
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「そりゃ本ものかい」と主人は無作法ぶさほうな質問をかける。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)