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涸
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かわ
ふりがな文庫
“
涸
(
かわ
)” の例文
朝、胃痛ひどく、
阿片
(
あへん
)
丁幾
(
チンキ
)
服用。ために、
咽喉
(
のど
)
が
涸
(
かわ
)
き、手足の
痺
(
しび
)
れるような感じが
頻
(
しき
)
りにする。部分的錯乱と、全体的痴呆。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
彼は
涸
(
かわ
)
いた唇をなめてあたりを見まわした。大沼喜三郎を
宛
(
あ
)
てるつもりでいた。彼はそれを阿賀妻に連れて行かれていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
と
後
(
あと
)
を言い残して、かかかかかっと続けて云うのは、
咽喉
(
のど
)
が
涸
(
かわ
)
くから水をと云いたいが、口が利けなくなって手真似を致します。伯父が是を見て
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「御新造さんが晝頃になつて、少し氣分がよくなつたが、喉が
涸
(
かわ
)
いて仕樣がないから、水が欲しいと仰しやいました」
銭形平次捕物控:081 受難の通人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
女が「じゃ切りがないから、もう帰りますよ。」と言って帰って行った後で、女中の持って来た桜湯に
涸
(
かわ
)
いた咽喉を
湿
(
うるお
)
して、十時を過ぎて、
其家
(
そこ
)
を出た。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
▼ もっと見る
それから、油断はならぬというふうに、
涸
(
かわ
)
ききらない涙の奥で、白眼をくるりと動かすのである。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
神意審問会の
索輪
(
つなわ
)
の中で、濃厚な疑惑に包まれ、しかもそれが、ピッタリと現存の四人、その一群に、最後の切札が投ぜられたのだ。法水は唇が
涸
(
かわ
)
き、封筒を持つ右手が怪しくも
顫
(
ふる
)
え出した。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
一頃は
訪
(
と
)
う人どころか、
苔
(
こけ
)
の下に土も枯れ、水も
涸
(
かわ
)
いていたんですが、
近年
(
ちかごろ
)
他国の人たちが方々から尋ねて来て、世評が高いもんですから、記念碑が新しく建ちましてね、名所のようになりました。
縷紅新草
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
母親
(
おっか
)
さん、咽が
涸
(
かわ
)
いていけないから、お茶を一杯入れて下さいナ」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
神戸高商にはこんな人達が多いと見えて、或教授は歯医者へ行く途中、
咽喉
(
のど
)
が乾いて仕方がないので(学校教員だとて咽喉の
涸
(
かわ
)
かぬといふ法はない)
珈琲店
(
カフエー
)
へ飛び込んで、
立続
(
たてつゞ
)
けに紅茶を二杯飲んだ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ちょうど
咽喉
(
のど
)
が
涸
(
かわ
)
いていたので、椰子水でも貰おうかと、豚の逃亡を防ぐための柵を乗越して裏から家の庭にはいった。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
それをどこからか
覗
(
のぞ
)
かれているのではないかと針のような神経を立て、
涸
(
かわ
)
いた気持でぬすむようにあたりを見まわした。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
夕暮らしい寒い風が
問屋物
(
とんやもの
)
を運搬する荷馬車の
軋
(
きし
)
って行く跡から
涸
(
かわ
)
ききった
砂塵
(
すなほこり
)
を巻き揚げていった。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
「親分、落ち着いてゐちやいけませんよ。大變な事が始まつたんだ。あつ喉が
涸
(
かわ
)
く、水を一杯——」
銭形平次捕物控:112 狐の嫁入
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それでなくても検事と熊城は、唇が割れ唾液が
涸
(
かわ
)
いて、ただひたすらに、法水の持ち出した奇矯転倒の世界が、一つ大きな
蜻蛉
(
とんぼ
)
がえりを打って、夢想の翼を落してしまう時機を夢見るのだった。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
病
(
や
)
める
青草
(
あをくさ
)
の
萎
(
な
)
えむとして
水
(
みづ
)
の
涸
(
かわ
)
いたのであつた。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
六月の中旬のことで、庭の隅には丈の高い紅と白とのスウィートピイが美しく
簇
(
むらが
)
り咲いていた。花の前に立って、三造は、しばらく涙の
涸
(
かわ
)
くのを待った。
斗南先生
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「親分、落着いていちゃいけませんよ。大変な事が始まったんだ。あっ
喉
(
のど
)
が
涸
(
かわ
)
く、水を一杯——」
銭形平次捕物控:112 狐の嫁入
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
涸
漢検1級
部首:⽔
11画
“涸”を含む語句
乾涸
涸沢
干涸
涸々
涸沼
水涸
涸谷
涸渇
出涸
鹹涸川
裏涸
皺涸
田涸
潮涸玉
涸雪
涸裂
涸燥
涸澤
涸渓
涸底
...