どう)” の例文
そして各二万を三手に分かち、三どうの元帥と称する者——金環結きんかんけつを第一に、董荼奴とうとぬを第二に、阿会喃あかいなんを第三に備えて、待ちかまえているという。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
胸の所がガランどうになって、心臓がいやに上の方へ浮上って来た。そして、あごの筋肉がツーンとしびれて、やがて、歯の根がガクガクと動き始めた。
灰神楽 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
俺は白いがらんどうの空間にすぎないのだが、それにもかかわらず、それは俺として闇のなかを歩いている。
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
なるほどモーニングの大きい穴の向うには、背中の方のモーニングの裏地うらじが見えるばかりで中はガランどうに見えました。こんな不思議な生物があるのでしょうか。
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)
北海道万寿炭坑行きのボイラー三本を、万寿丸は、横浜から、室蘭への航海に、そのガランどうの腹の中に吸い込んだ。それははなはだ手間の取れる厄介な積み込みであった。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
しからば永久の父なる神も何の役に立とう! 司教さん、エホバの仮説には私はもうあきあきする。そういう仮説はただ、がらんどうのやせこけた人間を作るに役立つばかりだ。
注射器の中には空気のガランどうが出来ている。このまま静脈にしてやろうかと、寺田は静脈へ空気を入れると命がないと言った看護婦の言葉を想い出し、狂暴に燃える眼で一代の腕を見た。
競馬 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
なぜ、たった九ノットの速力でゆれるかといえば、わが万寿丸は、なるべく多く石炭をほおばるべく、デッキから、ボットムまで、どちらを向いてもガランどうで、支柱がないためなのだった。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
南蛮国における「どう」はとりでの意味であり、「洞の元帥」とはその群主をいう。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ほら、体の中は、がらんどうですぞ」
宇宙戦隊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
どうくつのなか
仮面の恐怖王 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
蛮軍は五渓峰けいほうの頂に防塞ぼうさいを築いて、三どうの兵を峰つづきに配し、ひそかに
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここは、楽に忍べると思えば、金けも什器じゅうきもねえがらんどうだし、ここには、みっしりと金がうなってるなと思うような邸には、今いったとおり、用心棒が頑張っているといったようなわけで……
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
燃えさかる人穴城ひとあなじょうをあとに、ひさしぶりで、京都の鞍馬山くらまやまのおくへ飛んでかえり、お師匠ししょうさまの果心居士かしんこじにあって、得意のちくいちを物語ろうと思ったところが、荘園そうえんいおりはがらんどうで、ただ壁に
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)