汲上くみあ)” の例文
みづ汲上くみあぐる釣瓶つるべおとはたおとかねこゑ神樂かぐらひゞき騷然さうぜん雜然ざつぜんげふこゑありてもくするはく、しよくおとありてきこえざるはきにいたれり。
鉄槌の音 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それと申すが、まず庭口と思う処で、キリキリトーンと、余程その大轆轤おおろくろの、刎釣瓶はねつるべ汲上くみあげますような音がいたす。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
真鍮しんちゅうの水さしを持って来て言うのには、手水は発動機で汲上くみあげている処、発電池に故障があって、電燈もそのためにおくれると、帳場で言っているそうで。
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
よくも、あのみづんだとおもふ。一釣瓶ひとつるべごとにえのきのこぼれたやうなあか毛蟲けむし充滿いつぱい汲上くみあげた。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かたわら青芒あおすすき一叢ひとむら生茂おいしげり、桔梗ききょう早咲はやざきの花が二、三輪、ただ初々ういういしく咲いたのを、つぼみと一枝、三筋ばかり青芒を取添とりそえて、竹筒たけづつに挿して、のっしりとした腰つきで、井戸から撥釣瓶はねつるべでざぶりと汲上くみあ
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)