気違きちが)” の例文
旧字:氣違
「あ、さようでございましたか。それはそれは遠方えんぽうのところをご苦労くろうさまで……それはあのなくなったは気違きちがいのことでしょうな」
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
もずはみな、一ぺんにび立って、気違きちがいになったばらばらの楽譜がくふのように、やかましく鳴きながら、東の方へんで行きました。
めくらぶどうと虹 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ところが井戸ゐどなかよめが身を投げて死んだり、二代目と三代目の主人が気違きちがひになつたりしたのが、其家そのいへつぶれる初まりといふので
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
五大洲の一撃で一点を恢復かいふくした。このとき三塁の背後の松の枝高くらっぱの音が聞こえた。ついで気違きちがいじみた声!
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
王女 声を出したのが悪い? 気違きちがいかしら? あんな可愛い顔をしているけれども、——
三つの宝 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
さっきのいぬは、あいかわらず気違きちがいのようにほえまわって、主人しゅじんのすそをるやら、背中せなかびつくやら、たいそうらんぼうになって、しまいにはいまにもかみつくかとおもうように
忠義な犬 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
美くしさの気違きちがいさん
千世子(二) (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
まるで気違きちがいだ。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
わたしはもうみえも外聞がいぶんも考えませぬ。たとえあの気違きちがいがどのようなふうをしていようと、気違いですものしかたがありません。
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
その遠ざかって行く陸地に小さな人のかげが五つ六つうごき一人は両手を高くあげてまるで気違きちがいのようにさけびながらなぎさをかけまわっているのでした。
サガレンと八月 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ぼんやりのこっているたきあかりにすかしてみますと、中でいちばんかしこい、獲物えものることの上手じょうずいぬが、のまわりをぐるぐるまわりながら、気違きちがいのようになってほえてていました。
忠義な犬 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
みんなはまるで、気違きちがいのようになって、その辺をあちこちさがしましたが、こどもらのかげも見えませんでした。
狼森と笊森、盗森 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「まことにはやご苦労くろうさまにぞんじます。あの気違きちがいも長ながとご迷惑めいわくをかけましたが、それでわたしも安心いたしました。まずどうぞおかけくださいまし」
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
一時はあまりの熱と力にみんな一緒に気違きちがいにでもなりそうなのをじっとこらえて来たではありませんか。
楢ノ木大学士の野宿 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
停車場の方で、するどふえがピーと鳴り、もずはみな、一ぺんに飛び立って、気違きちがいになったばらばらの楽譜のように、やかましく鳴きながら、東の方へ飛んで行く。
マリヴロンと少女 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)