気品きひん)” の例文
旧字:氣品
そのはよほど家柄いえがらうまれらしく、まるポチャのあいくるしいかおにはどことなく気品きひんそなわってり、白練しろねり下衣したぎうすうす肉色にくいろ上衣うわぎかさ
が、そんなことを眼中に置かないでも、鳳凰ほうわう羅漢らかんなんぞは、至極しごく結構な出来だと思ふ。あの位達者で、しかもあの位気品きひんのある所は、それこそ本式に敬服のほかはない。
俳画展覧会を観て (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
写真版しゃしんばんでは、うまみがよくわからんが、気品きひんがあるだろう……。」と、叔父おじさんがいわれた。
町の真理 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そこで津田青楓つだせいふうさんに御相談申し上げるが、技巧はかくも、気品きひんの点へくと、先生の画の中には、あなたが頭を御下おさげになつても、恥しくないものがありやしませんか。
俳画展覧会を観て (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
もっとも、利助りすけほどの天才てんさいは、自分じぶんのものがなが保存ほぞんされるためとか、どうとかいうようなぞくかんがえはもたなかったろう。ただ、気品きひんたかいものをつくげたいとおもっていたにちがいない。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)