案内者あんないしゃ)” の例文
騎兵大隊長きへいだいたいちょう夫人ふじん変者かわりものがあって、いつでも士官しかんふくけて、よるになると一人ひとりで、カフカズの山中さんちゅう案内者あんないしゃもなく騎馬きばく。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
案内者あんないしゃれいのりっぱな帳場の前についであった一ぱいの酒をがぶ飲みにして、それから給仕きゅうじの男に自分の行こうとする場所の方角を聞いた。
傳「うだい、大変大きな握飯むすびじゃないか、もっと幾つにもしてくれゝばいゝに、梅干は真赤まっかで堅いねえ、あゝすっぱい、案内者あんないしゃさんの握飯は大きいねえ」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
すぐ阿蘇忠国あそのただくに案内者あんないしゃにして、わずかな味方みかたへいれたなり、九州きゅうしゅうしろというしろかたっぱしからめぐりあるいて、十三のとしはるから十五のとしあきまで、大戦おおいくさだけでも二十何度なんど
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ここより薬師堂の方を、六里ばかり越ゆけば草津に至るべし、是れ間道かんどうなり。今年の初、欧洲人雪をおかしてえしが、むかしより殆ためしなき事とて、案内者あんないしゃもたゆたいぬと云。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
この当時とうじは、武士ぶしのことばに、そうむやみにそむくわけにはいきませんでしたので、法一はなんとなく気味悪きみわるく思いながらも、びわをかかえて、その案内者あんないしゃに手をひかれて寺をでかけました。
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
いままで、だまっていました、案内者あんないしゃ一人ひとりは、はじめてくちひらいて
大根とダイヤモンドの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
案内者あんないしゃはふと立ち止まった。かれは道をうしなったらしかった。けれどちょうどそのとき一人の巡査じゅんさが出て来た。