松蝉まつぜみ)” の例文
やがて夕方ゆうがたになりました。松蝉まつぜみきやみました。むらからはしろゆうもやがひっそりとながれだして、うえにひろがっていきました。
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)
教授室の三方の窓には強い日光を受けた松の緑がまぶしく波打っておりまして、早くも暑苦しい松蝉まつぜみの声さえ聞えて来るのでありますが、南側に並んだ窓の一つ一つには
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
まつからはみんみんぜみやう松蝉まつぜみこゑくすぐつたいほどひと鼓膜こまくかるひゞいてすべてのこゝろ衝動しようどうする。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
さういふ記憶は朦朧もうろうとしてゐるが、松蝉まつぜみでも鳴いてゐたやうな気持もする。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
くもしろくいゆきわたらふ夏の空松蝉まつぜみの声ぞここにしづけき
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
それは、若竹わかたけが、あちこちのそらに、かぼそく、ういういしい緑色みどりいろをのばしている初夏しょかのひるで、松林まつばやしでは松蝉まつぜみが、ジイジイジイイといていました。
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)