杉林すぎばやし)” の例文
またたかさのもつとたかくなるのはすぎで、秋田縣あきたけん長木澤ながきざは杉林すぎばやし甲州こうしゆう身延山みのぶさん千本杉せんぼんすぎなかには、たかさが三十五間さんじゆうごけんもあるのがられます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
牛の牢という名は、めぐりの石壁いしかべけずりたるようにて、昇降のぼりくだりいとかたければなり。ここに来るには、よこみちを取りて、杉林すぎばやし穿うがち、迂廻うかいしてくだることなり。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
しかし入の波へ行く本道は「道」に違いないが、右へ折れる方は木深い杉林すぎばやしの中に、わずかにそれと人の足跡を辿たどれるくらいな筋が附いているだけである。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
倉地が先に行って中の様子を見て来て、杉林すぎばやしのために少し日当たりはよくないが、当分の隠れとしては屈強だといったので、すぐさまそこに移る事に決めたのだった。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
杉林すぎばやしの中を通り抜け、さらに三丁、畑の間の細道を歩き、さらに一丁、坂をのぼって八幡宮はちまんぐうに参り、八幡宮のおふだをもらって同じ道をまっすぐに帰って来るよう、固く申しつける。
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
幸ひきやつを殺し彼者かれが勝し五百兩の金を奪ひ取んと心がけさきへ廻つてわしの宮の杉林すぎばやしに身をかくし金兵衞の來るを今やおそしと待懸たり金兵衞はかゝるべしとはゆめにも知ず慈恩寺村じおんじむらにて打勝し五百兩を懷中くわいちう小歌こうた
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)