ほほ)” の例文
祖母おばあさんがほほつゝんでくださるあつ握飯おむすびにほひでもいだはうが、おあししてつたお菓子くわしより餘程よほどおいしくおもひました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
山腹にほほの幹が白い。萱原に鴉の群が下りてゐる。鴉が私を見た。私は遠い山の、電柱の列が細く越えてゐるのを眺めた。私は山襞に隠れていつた。
測量船 (新字旧仮名) / 三好達治(著)
其處もほそ長い窪地になつてゐて、いろ/\な雜木のなかに二三本のほほの木が立ち混り、夏の初めなどあの大きな白い花が葉がくれに匂つてゐたものである。
もものなかは空洞になつて、黒いうるしが塗つてあることを考へた。膝から上が桐の木で、膝から下がほほの木で作られて足の形を取る時に、かんなで削つたことを考へたのである。
三十三の死 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
無一文、無財産ではあつたけれども根が樂天家で、ほほを抱き眞を含めりで、どのやうな環境にもびくともしない心根は、長い間の大陸放浪から來てゐる無欲てんたんにあるのに違ひない。
崩浪亭主人 (旧字旧仮名) / 林芙美子(著)
それからどちらから言ひ出すともなしに郵便局の角を曲つて、ほほの花のさいた集會堂オオヂトリアムの前を横切りながら、例の小鳥の巣のあるコッテエヂの方へ、彼と彼女はこんな會話をしいしい向つていつた。
巣立ち (旧字旧仮名) / 堀辰雄(著)
朝東風あさこちの吹きひるがへすほほの葉は葉おもてひろくすがしかりけり
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
朝東風あさこちの吹きひるがへすほほの葉は葉おもてひろくすがしかりけり
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
裸木のほほのこずゑはゆれてあれ
寒林小唱 (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
ひむがしに群れてかがよふしろき花ほほ喬木たかぎぞ木立してけれ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
ほほの木のしづ枝のひたき
一点鐘 (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
ひむがしに群れてかがよふしろき花ほほ喬木たかぎぞ木立してけれ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ほほの花白くむらがる夜明がたひむがしの空にらいはとどろく
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
ほほの花白くむらがる夜明がたひむがしの空にらいはとどろく
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)