木戸銭きどせん)” の例文
旧字:木戸錢
大入おほいり評判ひやうばんだ四はんだ五ばん傑作けつさくぢや大作たいさくぢや豊年ほうねんぢや万作まんさくぢやと口上こうじやう咽喉のどらし木戸銭きどせん半減はんまけにしてせる縁日えんにち見世物みせもの同様どうやう
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
マンは、木戸銭きどせんを払った。一人五銭。「虎ノ間」は、最下等の立見席だ。おりのように、張りめぐらされた木柵の外部から観るのである。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
木戸銭きどせんをだしていない大道芸だいどうげいのせいでもあろうが、とかく人間は、かれの成功せいこうよりもかれの失敗しっぱいをよろこぶ傾向けいこうをたぶんにもっている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この小舎こやがいちばんたかくて、看板かんばんがすてきにおもしろそうでありましたから、かれはついに木戸銭きどせんはらって、おくほうはいってゆきました。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
けれども猫とも虎ともつかない、何か怪しげな動物になれば、古来野師やしまうけたのはかう云ふ動物恩恵である。我我は面白いと思はないものに一銭の木戸銭きどせんをもなげうつ筈はない。
続野人生計事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「筋だけ運んじゃ木戸銭きどせんになりませんよ。四谷は遠い、ゆっくり聴いて下さいよ」
やはり人々ひとびとにもまれながらてら境内けいだいはいると、片側かたがわたか軽業かるわざ小舎こやがあって、昨年さくねんたときのような絵看板えかんばんかっていました。かれは、木戸銭きどせんはらってのぞきました。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)