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暢々
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のびのび
ふりがな文庫
“
暢々
(
のびのび
)” の例文
そして、久しぶりに妻や子供と離れて、がらんとした家の中に寝そべってると、何とも云えぬ
暢々
(
のびのび
)
とした気持になったものです。
野ざらし
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「そいつぁ
些
(
ちっ
)
と早いな。怪しいもんだぜ」などと、鶴さんは節の
暢々
(
のびのび
)
した白い手をのばして、
莨盆
(
たばこぼん
)
を引寄せながら、お島の顔を見あげた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
余りに
緊
(
は
)
りきっている生命へ、
暢々
(
のびのび
)
と、天然放縦のわがままを与えて、酒ものみ、
転寝
(
うたたね
)
もし、書も読み、画筆も
弄
(
もてあそ
)
び、
欠伸
(
あくび
)
もしたりして
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これまで知らなかった、
暢々
(
のびのび
)
したひろさでさして来た。ソモフは、万事を約束通りにしてくれ、彼女は工場へ働き出した。
「インガ」:ソヴェト文学に現れた婦人の生活
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
そして時とすると、理由もなく突然走り出すことがあった。頭と上半身とを軽く右に傾けながら、しなやかに
暢々
(
のびのび
)
として、小さな動物のように駆けた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
▼ もっと見る
三日前の夕暮れには共に
暢々
(
のびのび
)
して眺めた風景にこのたびは君一人で面接しながら察してくれたであろう。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
用達
(
ようたし
)
することがあって、銀座の通へ出た頃は、実に
体躯
(
からだ
)
が
暢々
(
のびのび
)
とした。腰の痛いことも忘れた。いかに自由で、いかに手足の言うことを
利
(
き
)
くような日が、
復
(
ま
)
た
廻
(
めぐ
)
り廻って来たろう。
刺繍
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
お雪ちゃんはこう言って、なんとなく
暢々
(
のびのび
)
した気にさえなったのです。
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
『無駄ですぞ、
暢々
(
のびのび
)
と身をやすめていたほうが
得策
(
とくさく
)
じゃ。上杉家の者が、ほん気になって
襲
(
よ
)
せてくるつもりなら、何で、この真昼間を選ぶものですか』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
異性の友情も、私は微妙な陰翳のあるまま朗らかに肯定し
暢々
(
のびのび
)
保って行きたい。けれども、むずかしいのは私の根性が思う通り垢抜けてくれないことだ。
大切な芽
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
が、そこまでのつきつめた憂いも、帰結を心に観てしまうと、
低雲
(
ていうん
)
一
過
(
か
)
、あとは迷うことなく
暢々
(
のびのび
)
としているのも彼にきわだっている性情の一面だった。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
伸子は、この部屋をこめている生活の狭い、
暢々
(
のびのび
)
しない雰囲気が何となく窮屈で
馴染
(
なじ
)
めなかった。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
きょうは
良人
(
おっと
)
の姿にも、閑日の
寛
(
くつろ
)
ぎが見える。久しぶり
暢々
(
のびのび
)
とした家庭の主人らしく、妻の眼にもながめられた。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「——わしの性分か。わしは大河のこの悠久な
趣
(
おもむき
)
が妙に好ましい。川へ
泛
(
う
)
かぶと、心もいつか
暢々
(
のびのび
)
してくる」
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もっとも、彼の妻が生来弱いので、子を生むとか、病床にいるとか、とかく事欠きがちなので、久しぶり戦場から帰っても、強右衛門は、
暢々
(
のびのび
)
するひまもなかったのである。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ふすまを隔てて、吉保は、
白絹
(
しらぎぬ
)
の小蒲団に枕をのせ、
暢々
(
のびのび
)
と寝ころんでいた。そのからだに手をかけている老人は、
鍼按摩
(
はりあんま
)
の大家で杉山流とみずから称えている杉山検校だった。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「久しゅう、酒も飲まなんだ。——酒はたべても、このように、
暢々
(
のびのび
)
とはのう」
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
光悦は、それですっかり分ったように
暢々
(
のびのび
)
と笑いながら、母のほうへ向って
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
上下一体、
暢々
(
のびのび
)
と、生命を楽しませて酔い歌う慣わしであった。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「はやく休息するがよい。そして
暢々
(
のびのび
)
、正月をいたすがよい」
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、秀吉もここでは
暢々
(
のびのび
)
とくつろいで
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
暢
漢検準1級
部首:⽇
14画
々
3画
“暢”で始まる語句
暢気
暢
暢氣
暢達
暢気者
暢然
暢気坊
暢気相
暢気千万
暢心