易水えきすい)” の例文
この句の「尼」と甘酒の「甘」とが掛言葉になって、それがこの句の主な趣向になっておる。易水えきすいの句などに比べると同じ蕪村の句でも下等な句である。
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
今宵こよいこそはと最後の死をけっして、石門せきもん九ヵしょのかためをえ、易水えきすいをわたる荊軻けいかよりはなお悲壮ひそう覚悟かくごをもって、この躑躅つつじさきたちにしのびこんだ竹童であった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つぶりて折節橋の上で聞くさわぎ唄も易水えきすいさぶしと通りぬけるに冬吉は口惜くやしがりしがかの歌沢に申さらくせみほたるはかりにかけて鳴いて別りょか焦れて退きょかああわれこれを
かくれんぼ (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
何のために枕頭にステッキを飾るのか吾輩には分らなかった。まさか易水えきすいの壮士を気取って、竜鳴りゅうめいを聞こうと云う酔狂でもあるまい。きのうは山の芋、今日きょうはステッキ、明日あすは何になるだろう。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「なにしろ、止めて止められるような人たちじゃありませんからね。風は蕭々しょうしょうとして易水えきすい寒し、ですか。あの仲間はあの仲間で、行くところまで行かなけりゃ承知はできないんでしょう。さかんではあるが、鋭過するどすぎますさ。」
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「風蕭々しょうしょうとして易水えきすい寒し、——」。
風蕭々 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
易水えきすい根深ねぶか流るる寒さかな
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
易水えきすいの故事だな」
それは悲壮な行進のであり、かれの余裕と鬱勃うつぼつの勇を示すものだ、易水えきすいをわたる侠士きょうしの歌だ。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
易水えきすいにねぶか流るゝ寒さかな 蕪村
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
易水えきすい根深ねぶか流るる寒さかな
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)