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掌面
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てのひら
ふりがな文庫
“
掌面
(
てのひら
)” の例文
基督の
身体
(
からだ
)
を銀三十で売つた耶蘇教徒は、支那人の
掌面
(
てのひら
)
から一弗半を受取る事が出来たら、二つ返事で天国をも抵当に入れ兼ねまい。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
墨西哥犬
(
メキシコいぬ
)
は君達の
掌面
(
てのひら
)
に載るやうな可愛らしい奴だが、俺達は何でも大きいのが好きだから小さい方で世界第一なんぞは余り下らんナ。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
小僧は
洗
(
あら
)
ひ
立
(
たて
)
の顔をしてパデレウスキイの前に帰つて来た。音楽家は「よし/\」と言つて銀貨を小僧の濡れた
掌面
(
てのひら
)
に載つけてやつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
利藻氏は
掌面
(
てのひら
)
の上へ指先で「テン」と書いてみせた。豆千代は狐や狸はよく知つてゐたが、貂といふ
獣
(
けもの
)
は見た事も聞いた事も無かつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
暫くすると、激しい靴音がして独逸兵が
扉
(
と
)
を跳ね飛ばすやうな勢で入つて来た。
農夫
(
ひやくしやう
)
は両手の
掌面
(
てのひら
)
に
填
(
は
)
めてゐた顔を怠儀さうにあげた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
▼ もっと見る
「なに、
謡曲
(
うたひ
)
がお好きですつて。」満谷氏は飴ん玉のやうにつるつるした、そしてまた飴ん玉のやうに円い頭を
掌面
(
てのひら
)
で撫であげる。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
あの大きな
掌面
(
てのひら
)
をいくつもいくつも重ね合せて、大事そうに胸に抱いた円い球のなかには、一体何がしまわれているのだろう。
艸木虫魚
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
成程
腕
(
うで
)
つ
節
(
ぷし
)
は
勁
(
つよ
)
さうに出来てゐるが、その二十年といふもの、金なぞたんまり握つた事の無ささうな
掌面
(
てのひら
)
だなと弟子は思つた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
豆猿といふのは、ポケツトや
掌面
(
てのひら
)
のなかにでも
円
(
まる
)
め込んでしまはれさうな小さな猿で、支那でも湖南あたりにしか見受けられない
奴
(
やつこ
)
さんだ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
侯爵は嬉しさうににこ/\して「ほゝう、これは又面白い出来ぢやの、成程俵形で……」と皺くちやな
掌面
(
てのひら
)
で
弄
(
ひね
)
くり廻して悦に入つてゐる。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ブライアンは仕方がなくポケツトからまた五十仙を出して、爺さんの
掌面
(
てのひら
)
に載せてやつた。——だが、以前の演題はとうと思ひ出せなかつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
鴻池の主人は、皿を
掌面
(
てのひら
)
に載せた儘
凝
(
じつ
)
と考へてゐたが、暫くすると亭主を呼んで、この皿を譲つてはくれまいかと畳の上に小判を三十枚並べた。
青磁の皿
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「いくら何でも僕に禁酒法案の説明をさせるなんて余りぢやないか。」憲法学者は二日酔ひの顔を
手帛
(
ハンカチ
)
のやうに
両掌
(
りやうて
)
の
掌面
(
てのひら
)
で揉みくしやにした。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
仕合せと茶碗は膝の上で巧く両手の
掌面
(
てのひら
)
に抱きとめられていた。政宗は冷汗をかいた。胸には高く動悸が鳴っている……
艸木虫魚
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
篆刻家は一字幾らと相場の
極
(
きま
)
つた
掌面
(
てのひら
)
で額を撫であげながら感心した。執事は次の
室
(
ま
)
へ下つて金包を拵へにかゝつた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
政宗は持前の片眼に磨りつけるようにして、この窯変の不思議を貪り眺めていたが、ついうっとりとなったまま、危く茶碗を
掌面
(
てのひら
)
より取り落そうとした。
艸木虫魚
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「出来ないんです、
気根
(
きこん
)
が続かなくつて。」麦僊氏は
遣瀬
(
やるせ
)
が無ささうに左手の
掌面
(
てのひら
)
で右の二の
腕
(
かひな
)
を叩いた。「いつ迄こんななのか知ら。
真実
(
ほんとう
)
に困つちまふ。」
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
宴会の芸づくしは廻り廻つて久米氏の番になつた。氏はやをら座を立つて座敷の真中に坐つた。そしてポケツトから大きな夏蜜柑を一つ取り出して
掌面
(
てのひら
)
にのせた。
茶話:06 大正十一(一九二二)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
彼はできあがつた薬を大切さうに
掌面
(
てのひら
)
に載せた。顔にはほがらかな微笑さへも浮んでゐた。
春の賦
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
老人はやつと機嫌を直して、大きな
掌面
(
てのひら
)
で皺くちやな顔を撫でまはしました。
中宮寺の春
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
喜平は熱い
掌面
(
てのひら
)
で肩から胴へかけての埃を拭き取つて、また見入りました。
小壺狩
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
しかしできるだけその物の持つてゐる美しい点を見逃すまいとする利休の
平素
(
ふだん
)
からの心掛けは、隠れた美しさを求めて、幾度か
掌面
(
てのひら
)
の茶入を見直さしました。肩の張りやうにも難がありました。
利休と遠州
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
二人は一緒になつて、そこらの木を
伐
(
か
)
り倒して、それを
薪
(
たきぎ
)
に
挽
(
ひ
)
いた。自動車王は少し挽き疲れたので、あたりの切株に腰を下した。そして
掌面
(
てのひら
)
にへばりついた
鋸屑
(
おがくづ
)
の儘で、額の汗を押し
拭
(
ぬぐ
)
つた。
茶話:06 大正十一(一九二二)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
掌
常用漢字
中学
部首:⼿
12画
面
常用漢字
小3
部首:⾯
9画
“掌”で始まる語句
掌
掌中
掌握
掌上
掌大
掌底
掌裡
掌指
掌先
掌手