中宮寺の春ちゅうぐうじのはる
ある歳の一月五日午後二時過ぎのことでした。 私は、その頃まだ達者でゐた法隆寺の老男爵北畠治房氏と一緒に連れ立つて、名高い法隆寺の夢殿のなかから外へ出てきました。 山国の一月には珍しいほどあたたかい日で、薄暗い堂のなかから出てきた眼には、眩し …