捕物とりもの)” の例文
これはいかにむっつり右門が神人に等しい無双の捕物とりもの名人であったにしても、死人をふたたび蘇生そせいさすべきすべでも知っているか
六日目の夜は、石田氏と二人で夜の部をやったが、次の朝、五時頃、三人ばかりの国警が踏みこんで来て、ちょっと捕物とりものの風景になった。
我が家の楽園 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
上方流の捕物とりものでは、関東の塙江漢はなわこうかんと並び称されている活眼家羅門塔十郎が、今、初めてこの事件に一指いっしを染めはじめたのである。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そんな物騒ぶっそうな話が我が身の上に懸けられているとも知らぬ覆面探偵青竜王は、竜宮劇場屋上の捕物とりものをよそに、部下の勇少年と電話で話をしていた。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
明智が指さす大テントの天井には、右往左往する捕物とりものの人々が、異様な影絵となって入り乱れていた。
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
職人ながら、お捕物とりものにかけては、与力よりきの満谷剣之助なども一目も二目も置いている、黒門町なのだ。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
すると番附には「ピストル強盗ごうとう清水定吉しみずさだきち大川端おおかわばた捕物とりもの」と書いてあった。
将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
傳次は馴れて居るから逃げましたが、庄吉は怖々こわ/″\縁の下へ段々這入りますと、先に誰か逃込んで居るから其の人の帯へつかまると、捕物とりものの上手な源藏げんぞうと申す者がもぐってり、庄吉の帯をとらえて
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「八、厭な捕物とりものだつたな」
新しく善光寺たつなる配下が一枚わき役として加わり、名人、伝六、善光寺辰と、およそ古今に類のない変人ぞろいの捕物とりもの陣を敷きまして
「職人町の辻で、捕物とりものがあるとかで、町の者が騒いでおりますゆえ、物見に出向きましたので」
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もうこの上は、捕物とりものなど断念して逃げ出すほかに思案はない。彼は、人声から遠ざかるように、遠ざかるようにと注意しながら、鉄管から鉄管へと、無茶苦茶に這い出した。
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「いいか、急いで自身番へ行ってナ、うちにこれから捕物とりものがありますからって、町内五人組の方に来て貰うんだ——すこし手強てごわいから、うでぷしのつよいやつをまとめてくるように——」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
いたって小気味のよい捕物とりもの美談ともいうべきもので、しかも事の勃発ぼっぱついたしましたのは、あの古井戸事件がめでたく落着してからまもなくの
彼らも怪人の話を聞いて、この捕物とりものを少なからず無気味に思っていたのだ。
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
まるでお捕物とりものみたような騒ぎ
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ここにいよいよわれらがむっつり右門の捕物とりもの第五番てがらが、はからざるときに計らざることから、くしくも開始されることにあいなりました。
「そして、これから本当の捕物とりものに移るのです」
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
捕物とりものの出役。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
七年まえのだんごのかたきを伝六は捕物とりもので晴らすつもりか、雨の道をもものともせずに、ここをせんどと急がせました。
右門捕物帖:30 闇男 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
ましてや、こと大奥にかかわりができたとなると、むっつり右門、いかに捕物とりものの名人であったにしても、たやすく乗りこんでいかれるわけがない。
いうまでもなく、そのおでん屋の見込み捕物とりものによっていっさいの犯人があげられ、いっさいの犯行が判明いたしました。
右門十番てがらは、かくしてその捕物とりもの秘帳に、最初の血で描かれた美花をさらに一つ添えて、いよいよ次の第十一番てがらにうつることとなりました。
小町娘の愛孫が一生一度の契りごとにかかわる大事とすれば、おぼれる者のわらのように、必死とわが捕物とりもの名人にすがりついたのは無理のないことです。
ついこないだの達磨だるまさんの捕物とりものでもそうなんだが、うわべに現われているたねの小さいものほど、底が深いものさ
右門の捕物とりもの中でも変わり種のほうで、前回にご紹介いたしました九番てがらの場合のごとく、抜くぞ抜くぞと見せかけてなお抜かなかったむっつり右門が
笑いわらいのっそりとそでがきの陰から姿を現わしたのは、だれでもない捕物とりもの名人のわがむっつり右門です。
右門捕物帖:23 幽霊水 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
さすがの捕物とりもの名人も、苦笑するともなく苦笑していましたが、しかし伝六のほうはごくのまじめで、いまにもほんとうに駆けだしそうなあんばいでしたから
はからずも両者の捕物とりもの競争はここにいたって白熱の度を加えることとなり、右門勝つか、敬四郎負けるか、興味はその結果につながれることとなりましたが
それゆえと申しては失礼でござりまするが、どうぞあなたの捕物とりものはあなたおひとりのおてがらにご上申なされませ。お奉行さまもお喜びでござりましょうよ。
まことに捕物とりもの名人としては、こうるさい同僚をかたき役に持ったというべきですが、事の端を発しましたのは、二月もずっと押しつまって、二十八日の朝でした。
ゆられゆられて道は、その三島まで三里二十八町のくだり坂、もうこうなれば道も早いが捕物とりものも早い。
逃げるように駆け抜けていった点がすこぶる不審でしたから、ちらりと認めるや同時で、ピカピカとその目を鋭く光らしたものは、余人ならぬわれらの捕物とりもの名人でした。
しかし、今回の三番てがらは、前回と同様捕物とりもの怪異談は怪異談でございますが、少々ばかり方角が変わりまして、場所はおひざもとの江戸でなく、武州おしのご城下に移ります。
早くも伝六が奉行所から持ってかえった報告中のにせ金事件に推定を下し、かくのごとくに奇想天外疾風迅雷的の、壮快きわまりなき大捕物とりものとなるにいたったのでありました。
右門捕物とりもの中の第三番てがらに詳しくご紹介しておきましたから、記憶のよいかたがたにはまだ耳新しい名まえだと存じますが、もし八丁堀の同僚たちのうちで気組みだけなりと
あの大捕物とりものとともにわれわれのひいき役者むっつり右門がうなぎのぼりに名声を博し
わが捕物とりもの名人むっつりの右門とは、切っても切れぬゆかりの深い知恵宰相伊豆守いずのかみです。
もうこうなるとくるわにおける一介のぶこつ者は、断然として天下公知の捕物とりもの名人に早変わりいたしまして、その場からただちに例の疾風迅雷的な行動が開始されることとなりました。
ここに捕物とりものを重ねること第九回、いまぞはじめて腰の一刀にものをもいわせようというかのように、蝋色鞘ろいろざや細身のわざものにしめりをくれておくと、さっそうとして立ち上がりました。
「偉い。おまえもこの節少し手をあげたな。捕物とりもの詮議せんぎはそういうふうに不審を見つけてぴしぴしたたみかけていくもんだよ。佐久間町といや隣の横町だ。宿駕籠にちがいない。行ってみな」
前回のおしの城下の捕物とりもの中でも、はっきりとそのことをお話ししておいたとおり、尋常な女では容易なことに落城いたしませんので、右門を向こうへ回してぬれ場やいろごとを知ろうとするなら
風流がましく月の宿なぞと負け惜しみをいいながら、ついふらふらと朝寝するくらいですから、人より少々できもよろしく、品もよろしいわが捕物とりもの名人が、朝寝もまた胆の修業、風流の一つとばかり
捕物とりもの名人とやらいうおかたは、お違い申すな」
これぞ待たれたわれらの捕物とりもの名人右門です。
右門捕物とりもの第十八番てがらです。