手廻てまは)” の例文
「さうか。そいつは手廻てまはしがいゝな。ぢや断然やれよ。おれも手伝はあ。貴様が発射した魚雷で、巨艦『ウルフ』が海の底に深く沈むなんざア愉快だ!」
怪艦ウルフ号 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
たのまれたこと手廻てまはしに用済ようずみとつたでな、翌朝あけのあさすぐにも、此処こゝ出発しゆつぱつおもふたが、なにる……温泉宿おんせんやど村里むらざと托鉢たくはつして、なにとなく、ふら/\とおくつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その根方ねがたところを、草鞋わらぢがけの植木屋うゑきや丁寧ていねいこもくるんでゐた。段々だん/\つゆつてしもになる時節じせつなので、餘裕よゆうのあるものは、もう今時分いまじぶんから手廻てまはしをするのだといた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
いづれに居らるゝやといひければ亭主八五郎然ればなり其病人と申は多分たぶん今晩こんばん旅人りよじんに怪我のあるはずゆゑ急度きつと今に參るならんといふに醫師は大いに不審いぶかり然樣か夫は餘り手廻てまはすぎたりシテ其怪我人のあらんと云事は如何のわけなりやと申ければ八五郎は浪人夫婦の事より後藤半四郎がたすけ馳着はせつけし始末等委細ゐさいに物語りなどして居たりしが亭主は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)