なさ)” の例文
心に悲しみ居けるが御儉約けんやくなさるゝは結構けつこうの事なれ共御相續の御養子は御家を御つがせ成さる大事の御方なり其大切なる御養子持參金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
多分いらッしゃるだろうと思ッて居ました何でもバチグノールの老人を殺した藻西とか云う罪人にお逢いなさるのでしょうね目
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
重畳ちょうじょうの幸福と人のうらやむにも似ず、何故か始終浮立ぬようにおくらしなさるのに不審をうつものさえ多く、それのみか、御寵愛ごちょうあいを重ねられる殿にさえろくろく笑顔をお作りなさるのを見上た人もないとか
忘れ形見 (新字新仮名) / 若松賤子(著)
始めとして富澤町の實父じつぷにも兄にも先立さきだつ不幸ふかうの罪おゆるなされて下されよ是皆前世の定業と斷念あきらめられて逆樣さかさまながら只一ぺんの御回向を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
帽子は失い襟飾りは曲りたるなど一目に他人と組合いつかみ合いたるを知る有様なるに其うえ顔は一面に血まみれなれば余は全く仰天し「や、や、貴方はなさッた」
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
よくも女の手一ツにて斯樣かやうに御育養そだて有れしぞしかし其後は御亭主ていしゆも定めてお出來なされたであらうに今日はいづれへかお出かけにやと言へばお光はかたち
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
たちまち一歩引下り「おゝ御一緒に、今まで珈琲館にいらしッたのですか、私しは又用事で外へお廻りに成たかと思いました、あそんでお帰りなさるには余り遅過るじゃ有ませんか」
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)