)” の例文
「三十而立塩田子。言行寡尤徳惟馨。」〔三十ニシテ立ツ塩田子/言行とがすくなク徳かおル〕随斎はその時二十八歳であったのである。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
一瞥心機を転じて身外しんがいの万物を忘れ、其旧を棄てゝ新れ謀るは人間大自在の法にして、我輩が飽くまでも再縁論を主張する由縁なり。
新女大学 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「建業れ期す、ワシントン」と、彼は漢詩をつくつて、世上に示していた人である。しかし建設の人ではなかつた。彼は結局、謀反人である。
百日の富士は百日の異景を呈するに非ずや。詩人たる者唯宜しく異を容れてれ日も足らざるべし、何を苦しんで党派を作らんとするぞ。是も亦談理の弊に非ずや。
詩人論 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
れ努めた方だったから、この家筋の人々は鎌倉追討の御企てのおりは、警戒して敬遠されており、慈円などは『愚管抄』という歴史論を書いて、諷諫ふうかんするという風であった。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
れ幽明の異趣、すなわ詭怪きかいの多端、之に遇えば人に利あらず、之に遭えば物に害あり。故に大厲だいれい門に入りて晋景しんけい歿ぼっし、妖豕ようしに啼いて斉襄せいじょうす。禍を降し妖をなし、さいを興しせつをなす。
牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
誤解の生ずるれなしと保険はつけられない程度に危険があって、自分も懸念しないわけではないが、現在、窯をもって理想的に名陶を作り出さんとし、もっぱらその成功を望んでいられる関係上
同じ書に、茝庭がこの年安政二年より一年の後に書いた跋があって、諸子裒録ほうろくれ勤め、各部とみに成るといってあるのを見れば、論定に継ぐに編述を以てしたのも、また当時の事であったと見える。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
けだし聞く、大禹鼎だいうかなえて、神姦鬼秘しんかんきひその形を逃るるを得るなく、温嶠犀おんきょうさいねんして、水府竜宮すいふりゅうぐうともその状を現すを得たりと。れ幽明の異趣、すなわ詭怪きかい多端たたんこれえば人に利あらず。
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)