忠諫ちゅうかん)” の例文
「なあに、忠諫ちゅうかんの精神が足らんのさ。申しあげればかならずおわかりになる。まかりまちがえば切腹するまでのことじゃないか?」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
とりわけ斎藤利三のごときは、年も老齢としではあるし、忠諫ちゅうかんすでにるるところとならず、大勢の見透しにも老将だけに
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
勇猛にして無欲清浄にして器量大、廉直にして隠すところなく、明敏にして能く察し、慈恵にしてしもを育す、好みて忠諫ちゅうかんを容るる等、その善き所なり
川中島合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
そう云う関係上、彼はこれまで、始終修理に対して、意見番の役を勤めていた。彼が「板倉家の大久保彦左おおくぼひこざ」などと呼ばれていたのも、まったくこの忠諫ちゅうかんを進める所から来た渾名あだなである。
忠義 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「今度という今度こそ、袁大将軍にも、あなたのご忠諫ちゅうかんがよく分ったでしょう。ご帰国のうえは、きっとあなたに謝して、以後、重用遊ばすでしょう」
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まあ、ご堪忍ください。陳宮も決して自分のために、おもておかしていっているわけではなし、みな忠義のほとばしりです。元来、忠諫ちゅうかんの士です。今、唯一つのお味方を
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たまたま、忠諫ちゅうかんをすすめ、真実をいう良臣は、みな獄に下されて、斬られたり毒殺されたりした。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あらゆる忠諫ちゅうかんと、身を以て、この主家の動向をあやまらすまいと努力したのにかかわらず、その官兵衛を荒木村重に売り、村重と呼応こおうして、再度、節義を変え、信長にそむ
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひるむ心やまどう心のうごくたび、わしが幼年の頃、わしを忠諫ちゅうかんして自害した平手政秀をはじめ、そのほかたくさんな忠魂が、わしを叱咤し、わしを善に善にと導いてくれる。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
誠に宜しく聖聴を開張し、以て先帝の遺徳をあきらかにし、志士の気を恢弘かいこうすべし、宜しくみだりに自ら菲薄ひはくし、をひき義をうしない、以て忠諫ちゅうかんの道をふさぐべからず——
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
云い放って、くるまを進めると、二人はなお、忠諫ちゅうかんを叫びながら、輦の輪に取りすがった。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「君の主人は、越雋えっしゅん高定こうていであろう。高定は元来、忠義な人だ、野心家の雍闓ようがいにだまされて、謀反むほんくみしたものにちがいない。立ち帰ったらよく君からも高定に忠諫ちゅうかんしてあげるがいい」
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、必死に忠諫ちゅうかんしたことなどもいたく青年の光圀を、考えさせたらしかった。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
乱暴な口ならいくらもたたくが、主君に忠諫ちゅうかんなどは、得手えてでない限りである。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
むすび、また両家の円満な提携ていけいこそ、室町将軍家の命脈をたもつためにも、万全の計と信じておられた細川どののことゆえ、おもてをおかして、幾たびか義昭公を忠諫ちゅうかんされたものかと考えられまする
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ああ、われ過てり。——今にして初めて、耿武の忠諫ちゅうかんが思いあたる」
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
当然、この事はすぐ眼のまえにいる室殿へも大きなひびきを持つことなので、彼としてはこの戦時にあって共々一城を守る家臣としての悲壮なる忠諫ちゅうかんのやむべからざるを心からもいったのである。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
傅役もりやく小野角右衛門おのかくえもんが、信長のぶなが傅役もりやく平手中務ひらてなかつかさ忠諫ちゅうかんにならって
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
老臣の比田帯刀則家ひだたてわきのりいえ忠諫ちゅうかんは、声涙ともに下るものであった。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)