かたじけの)” の例文
「その御盃なれば、ぜひ、他にいただかせたい者がおりますが……その者に、おつかわし給われば、一だんと、かたじけのうござりますが」
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「はい、わかりました。私をお選びくださって、かたじけのうございます。皇国のために、一命を賭けてこの仕事をやりとげます」
太平洋魔城 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「さて、その時の御深切、老人心魂に徹しまして、寝食ともに忘れませぬ。千万かたじけのう存じまするぞ。」
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
敷島の三十一文字をもて栄爵をかたじけのうした高崎たかさき正風大人まさかぜうしのよりも何らの官位勲爵のない野の一文人紅葉の短冊の方がはるかに珍重されてヨリ高価を以て市場に売買されておる。
不憫ふびんがって下さいますのはかたじけのうござりますがいかに不自由な体なればとて奉公人を婿むこに持とうとまでは思いませぬおなかの子の父親に対しても済まぬことでござりますと顔色を
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「御厚意かたじけのう存じます。差構さしかまいない事なら、さよう願いましょう」と、箕浦が答えた。
堺事件 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
お心づくしをかたじけのうしていながらいまごろになり気づいた心のぬかりをおゆるしあるように、と、よく細かいことに気づく紀介が、ここまで心をくだいて深い用意をしていてくれたかと
玉章 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
かたじけのうござります。ではすぐ又平を呼んで参りますゆえしばらく……」
半化け又平 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
あの節は、お見のがしにあずかってかたじけのうござった。お蔭に依って、以来越後に帰国、こうして御奉公しています
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ああ、かたじけのうござります。何たる、神様か、仏様か、おかげで清く死なれまする。はいはい、わたくし風情にここと申す住所すみかもござりませぬ。もう御暇おいとまを下されまし。」と揉手もみでをしつつ後退あとじさり
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「愚老はたゞもうかたじけのうて/\、………こんな嬉しいことは八十年来………」
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「その節はお言葉添えをかたじけのういたしました。お変りものう。」
荻吹く歌 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
かたじけのうございます、御免」
(新字新仮名) / 山本周五郎(著)
かたじけのうござるが、ただ今のご伝言さえ願えれば、それにて、にべつだんの用もござらねば」
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お申し聞けを願います、と、そう云わせると、上意の趣、かたじけのう存じます、此方こちらからまかり出て対面いたしとう存じますが、それでは却ってお気遣いもござりましょうから、これへお越しを願います
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
かたじけのう存じまする」
嫁取り二代記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
かたじけのうござる。」
姫たちばな (新字新仮名) / 室生犀星(著)
いやありがたいことでござる。お志だけはくれぐれもかたじけのう存ずる。忝う存じ奉る
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「御領主さま。おこころのほどは身に沁みてかたじけのうござりまするが、子をふたりまでもいくさのにわに死なせた母の身には恩賞のお沙汰など耳にははいりませぬ。……この母は、この母はただ……」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「この度は、当家の乞いをいれて、諸国武者修行の御途次おんみちすがらを、お立ち寄り下され、かたじけのうぞんずる。主人嘉兵衛儀は、折ふし、公用中にござれば、後刻、改めてご挨拶申すとのことにござります」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かたじけのう存じます。——折もあらばまた」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
客僧の御忠告のほどもかたじけのう存ずる
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「お情け、かたじけのう存ずる」
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「はッ、かたじけのう存じます」
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かたじけのうはあるが……」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かたじけのうござる」
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)