“心部(むね)” の例文
彼(かれ)は忌々敷相(いま/\しさう)に且(か)つ刄(やいば)を以(もつ)て心部(むね)を突(つ)き通(とほ)される苦(くる)しさを忍(しの)んだかと思(おも)ふやうな容子(ようす)でわく/\する胸(むね)から聲(こゑ)を絞(しぼ)つていつた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
然(しか)も其(その)種々(いろ/\)な叫(さけ)びの錯雜(さくざつ)して聞(きこ)える聲(こゑ)が自分(じぶん)の心部(むね)から或(ある)物(もの)を引(ひ)つ攫(つか)んで行(ゆ)くやうで、自然(しぜん)にそれへ耳(みゝ)を澄(すま)すと何(なん)だか遣(や)る瀬(せ)のないやうな果敢(はか)なさを感(かん)じて涙(なみだ)が落(お)ちた。涙(なみだ)は卯平(うへい)の白髮(しらが)に滴(したゝ)つた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)