張板はりいた)” の例文
子供のむれがめんこや独楽こまの遊びをしているほかには至って人通りの少い道端みちばた格子戸先こうしどさきで、張板はりいた張物はりものをしていた。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
時に身じろぎをしたとおぼしく、たたずんだ僧の姿は、張板はりいたの横へ揺れたが、ちょうど浜へ出るその二頭の猛獣にまもられた砂山の横穴のごとき入口を、幅一杯にふさいで立った。
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
竹であんだ干籠ほしかごに、丸いおせんべの原形が干してあったのも、そのかたわらにあたしの着物を張った張板はりいたがたてかけてあったのも、その廻りを飛んでいた黄色の蝶と、飛び去ってしまった。
旧聞日本橋:02 町の構成 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
物置ものおきよこけた張板はりいた中途ちうとから、ほそくびを前へして、こゞみながら、苦茶くちや々々になつたものを丹念に引きばしつゝあつた手をめて、代助をた。一寸ちよつとなんとも云はなかつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
張板はりいたを立てて、襤褸ぼろを洗い張りしていたお次は、気の毒そうに、そっと寄って。
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
舷側は、張板はりいたが二つに割れるように見事に切れた。しかし、あまり切れすぎて、吃水きっすい以下までけてしまったものだから、待っていましたとばかり海水がどんどん艦内へ突入してくる有様だった。
「大八車を持つて來て、張板はりいたを二枚敷いて窓の下へつけたのだ」
子供のむれがめんこや独楽こまの遊びをしてゐるほかには至つて人通ひとゞほりのすくな道端みちばた格子戸先かうしどさきで、張板はりいた張物はりものをしてた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
と軽くいって、気をかえて身を起した、女房は張板はりいたをそっと
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)