“はりいた”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
張板88.9%
貼板11.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
竹であんだ干籠ほしかごに、丸いおせんべの原形が干してあったのも、そのかたわらにあたしの着物を張った張板はりいたがたてかけてあったのも、その廻りを飛んでいた黄色の蝶と、飛び去ってしまった。
旧聞日本橋:02 町の構成 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
物置ものおきよこけた張板はりいた中途ちうとから、ほそくびを前へして、こゞみながら、苦茶くちや々々になつたものを丹念に引きばしつゝあつた手をめて、代助をた。一寸ちよつとなんとも云はなかつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しかし——そうは答えても、決して心は平静であり得なかった証拠には、もう乾きぬいて、風にもがれかけている貼板はりいたの物を——さすがに彼女も二晩ほど仕舞い忘れていた。
思い出もいまは古い、小紋こもんの小切れやら、更紗さらさ襤褸つづれや、赤い縮緬ちりめんの片袖など、貼板はりいたの面には、彼女の丹精が、細々こまごまつづられて、それはるそばから、春の陽に乾きかけていた。