延喜式えんぎしき)” の例文
延喜式えんぎしきに山城国葛城郡かつらきごほり氷室ひむろ五ヶ所をいだせり、六月朔日氷室より氷をいだして朝庭てうてい貢献こうけんするを、諸臣しよしんにも頒賜わかちたまふ年毎としごとれいなるよしなり。
これは『延喜式えんぎしき』に載っておりますが、その仮名を調べてみると、かの特別の仮名の遣いわけが相当正しいのであります。
古代国語の音韻に就いて (新字新仮名) / 橋本進吉(著)
延喜式えんぎしき』には「公私運米五斗為俵たわらとなす」という規定があるが、それより古い記録も探したら見つかるかも知れぬ。ちょうどその時代の名士に俵藤太秀郷たわらのとうたひでさとがある。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
延喜式えんぎしきの古式にのっとって、前の年の寒のうちに屋敷の空地の清浄な地に、深さ二丈ばかりの大穴を掘り、そこに新筵あらむしろを敷いて雪をつめた桐の大箱をおさめる。
顎十郎捕物帳:08 氷献上 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
またあるいは畔田翠山くろだすいざんの『古名録』に在る様に知佐木チサノキ(『延喜式えんぎしき』)、知佐(『万葉集』)、加波知佐乃岐(『本草和名ほんぞうわみょう』)、賀波知佐乃木(『倭名類聚鈔』)
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
そこには、論語ろんご中庸ちゅうよう、史記、貞観政要じょうがんせいよう六韜りくとうなどの漢書やら、延喜式えんぎしき吾妻鏡あずまかがみなどの和書もあった。中でも、愛読の書は、論語と中庸の二書であり、和書では、吾妻鏡だった。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
第一の歌、「みかも」は、延喜式えんぎしきの都賀郡三鴨駅、今、下都賀郡、岩舟駅の近くにある。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
お家累代るいだいの御記録としましては、後光明峰寺殿(一条家経いえつね)の愚暦ぐれき五合、後芬陀利花ふだらく院の玉英一合、成恩寺じょうおんじ殿(同経嗣つねつぐ)の荒暦こうりゃく六合、そのほか江次第ごうしだい二合、延喜式えんぎしき、日本紀、文徳実録
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
その後我が国に於ても墨が製造され始め、延喜式えんぎしきに既にその製法が出ているくらいである。製法の詳しい記述等は『古梅園墨談』などに譲り、以下この物理的研究に必要な点だけを述べる。
墨流しの物理的研究 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
また「正倉院文書しょうそういんもんじょ」や『延喜式えんぎしき』などを見ると、「䒾」という字が用いてある。草で出来た衣を意味するから適切な文字と思えるが、正しい漢字ではないようである。日本で作った俗字であろうか。
蓑のこと (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
延喜式えんぎしきに山城国葛城郡かつらきごほり氷室ひむろ五ヶ所をいだせり、六月朔日氷室より氷をいだして朝庭てうてい貢献こうけんするを、諸臣しよしんにも頒賜わかちたまふ年毎としごとれいなるよしなり。
延喜式えんぎしき内膳司式ないぜんししきに「海松二斤四両」とあり、また『万葉集』の歌に「沖辺には深海松フカミルみ」
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
延喜式えんぎしき』の典薬寮式に、大和やまと近江おうみ等より進貢しんこうした年料の雑薬にもこの名が見え、その他この前後に世に出たいくつかの文献には、いずれも同じ文字のみが使われていて
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「古事記」だの「延喜式えんぎしき」などの古いものによると、隠岐は上代に、またの名を
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お家累代るいだいの御記録としましては、後光明峰寺殿(一条家経いえつね)の愚暦ぐれき五合、後芬陀利花ふだらく院の玉英一合、成恩寺じょうおんじ殿(同経嗣つねつぐ)の荒暦こうりゃく六合、そのほか江次第ごうしだい二合、延喜式えんぎしき、日本紀、文徳実録
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)
延喜式えんぎしきにのせたる内子鮏は今いふ子籠ここもり鮏の事なるべし。又同書どうしよ脊腸せのはらわたをみなわたとよめり。丹後信濃越中越後よりみつぎとする㕝も見えたれば、古代ふるきよさけ供御くごにも奉りたるなるべし。
上代の例としては『日本霊異記にほんりょういき』に、紀州に酒を造る女のあった話が出ている。独りそれのみならず、『延喜式えんぎしき』に見えている宮中の造酒司みきのつかさでも、その酒造り役は女だったようである。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
延喜式えんぎしき』の神名帳には、国魂郡魂くにたまこおりたまという類の、神名から明らかに国神に属すと知らるる神々を多く包容しておりながら、天神地祇の区別すらも、すでに存置してはいなかったのであります。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
舳艫訓じくろくん』という書に記したのはまだ心もとないが、米を入れる袋は他の土地でもシナ袋と謂う者があり、名の起こりはその材料にする木の名からで、『延喜式えんぎしき』の貢物中に名の見える信濃布しなのぬのなども
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)