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幾棟
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いくむね
ふりがな文庫
“
幾棟
(
いくむね
)” の例文
一代の中に
幾棟
(
いくむね
)
かの家を建て、大きな建築を起したという人だけあって、ありあまる精力は老いた
体躯
(
からだ
)
を
静止
(
じっと
)
さして置かなかった。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
麦畑のはてには、長者の
邸
(
やしき
)
の構えのなかに建てつらねた、
堅魚木
(
かつおぎ
)
のある
檜肌葺
(
ひわだぶき
)
の屋根が
幾棟
(
いくむね
)
となく見えておりました。
宇賀長者物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
対岸にある倉庫や石置場のようなものが雨に煙って、右手に見える無気味な大きな橋の
袂
(
たもと
)
に、
幾棟
(
いくむね
)
かの灰色の建築の一つから、灰色の煙が
憂鬱
(
ゆううつ
)
に
這
(
は
)
い
靡
(
なび
)
いていた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
茅場町
(
かやばちょう
)
の通りから斜めにさし込んで来る
日光
(
ひかげ
)
で、
向角
(
むこうかど
)
に高く低く
不揃
(
ふぞろい
)
に立っている
幾棟
(
いくむね
)
の西洋造りが、屋根と窓ばかりで何一ツ彫刻の装飾をも施さぬ結果であろう。
深川の唄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
幾棟
(
いくむね
)
か建物もあることであろうが、しかし庭木におおわれて、その一棟さえ見えなかった。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
そのきたならしいふうをした
人間
(
にんげん
)
は、にぎやかな
街
(
まち
)
の
中
(
なか
)
を
通
(
とお
)
って、さびしい
町
(
まち
)
はずれの
方
(
ほう
)
にやってきました。するとそこには、いままでと
反対
(
はんたい
)
に、みすぼらしい
破
(
やぶ
)
れた
小舎
(
こや
)
が
幾棟
(
いくむね
)
もつづいていました。
消えた美しい不思議なにじ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
丁度午後の日を
真面
(
まとも
)
にうけて、
宏壮
(
おほき
)
な白壁は燃える火のやうに見える。建物
幾棟
(
いくむね
)
かあつて、長い
塀
(
へい
)
は其
周囲
(
まはり
)
を
厳
(
いかめ
)
しく
取繞
(
とりかこ
)
んだ。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
あの
蓊鬱
(
こんもり
)
した森のなかにある白壁の
幾棟
(
いくむね
)
かの
母屋
(
おもや
)
や土蔵も目に浮かんだりして、ああいった人たちはやはりああいった大家でなくては縁組もできないものなのかと、考えたりもした。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
幾
常用漢字
中学
部首:⼳
12画
棟
常用漢字
中学
部首:⽊
12画
“幾”で始まる語句
幾度
幾
幾何
幾歳
幾日
幾人
幾許
幾年
幾個
幾干