ねがわ)” の例文
東亜の詩人は青蓮にたとえる。一々のいみなは汝の附くるに任せる。ねがわくばその実を逸脱せざらんことを。わたくしのる如くば、それは真夏の際の湖水である。
雛妓 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
し九仭のこうを一に欠くあらば大遺憾だいいかんの至りなり、ねがわくは此一夜星辰をいただきて安眠あんみんするを得せしめよと、たれありてか天にいのりしなるべし、天果して之を感ぜしか
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
「せめて一期の思い出にねがわくば一本ほしいね、それを喫ったらこの世に思いのこすこともあるまい」
蜜柑の皮 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
ねがわくは将来右の『植物志』と同様、否な、それ以上の立派な仕事が出来る人が日本に生まれ出て、その誇りとする出来栄えを世界万国に示されん事を庶幾しょきする次第だ。
それらのもののみは、私たちを欺かない日々の友であった。後に生れてくる人々よ、ねがわくはこれらのものをかたわら近くに置かれよ。それは声なくともいつも人情を恋している。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
僕は今日、歯が一本えたことをお知らせできるのは愉快です。年からいえばまだですが、これはたしかに、早生そうせい智慧歯ちえばです。ねがわくは、一本でおしまいにならないことを。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
灰皿にも用いよう。がねがわくば、竜涎りゅうぜん蘆薈ろかい留奇とめきの名香。緑玉エメラルド、真珠、紅玉ルビイらせたい。某国なにがし——公使の、その一品ひとしなおくりものに使ってから、相伝えて、外国の註文が少くない。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
以上みなその真蹟しんせきを石印に写したるもの、ねがわくは髣髴ほうふつとして、その真を失わざらん。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
ねがわくは何とかして私、「文七元結」の圓朝以前のものが知りたい。
それらのもののみは、私たちを欺かない日々の友であった。後に生れてくる人々よ、ねがわくはこれらのものをかたわら近くに置かれよ。それは声なくともいつも人情を恋している。
朝鮮の友に贈る書 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
それだからねがわくは美醜の分別を越えることである。それらが二に分れる已前に自らを戻すことである。与えられたありのままの「本分」に帰ることである。美醜の作為から去ることである。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)