けは)” の例文
佐渡には金北山といふ山がある筈なのにどうしたものかこんな山へ來てこれ程大きなけはしい山はまだ見たことが無いといつて驚いて居る男である。
炭焼のむすめ (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
針木嶺、白馬嶽、焼嶽、鎗が嶽、または乗鞍嶽のりくらがたけ、蝶が嶽、其他多くの山獄のけはしくきそひ立つのは其処だ。梓川、大白川なぞの源を発するのは其処だ。雷鳥の寂しく飛びかふといふのは其処だ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「そりや、わかつてゐます」とおとうとけはしいものかたをした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
はやしはづれから田圃たんぼへおりるところわづかに五六けんであるが、勾配こうばいけはしいさかでそれがあめのあるたびにそこらのみづあつめて田圃たんぼおとくちつてるので自然しぜんつちゑぐられてふかくぼみかたちづくられてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)