小砂利こじやり)” の例文
ぱうくさばかりで、さへぎるものはないから、自動車じどうしやなみてゝすなしり、小砂利こじやりおもてすさまじさで、帽子ぼうしなどはかぶつてられぬ。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いつの掃除さうぢをしたものか朝露あさつゆ湿しめつた小砂利こじやりの上には、投捨なげすてたきたな紙片かみきれもなく、朝早い境内けいだいはいつもの雑沓ざつたふに引かへてめうに広く神々かう/″\しくしんとしてゐる。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
黒板塀をめぐらして、忍び返しを植ゑ連ねた門構へ、小砂利こじやりを踏んで入ると、さすがに、玄關はありませんが、磨き拔かれた格子戸にも、並々ならぬぜいしのばれるのです。
次ぎの停車場ステーシヨンまではやゝ遠かつた。其處そこに着くのを待ちねて、小池はお光とゝもに、小砂利こじやりを敷き詰めた長いプラツトフオームへ下りると、ざく/\と小砂利を踏みつゝ車掌しやしやうに近附いて
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
うれひにのべられた小砂利こじやりのうへを
藍色の蟇 (新字旧仮名) / 大手拓次(著)
うれしく走りつきて石をあはせ、ひたとうちひしぎて蹴飛けとばしたる、石は躑躅つつじのなかをくぐりて小砂利こじやりをさそひ、ばらばらと谷深くおちゆく音しき。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
門辺かどべにありたる多くのども我が姿を見ると、一斉いつせいに、アレさらはれものの、気狂きちがいの、狐つきを見よやといふいふ、砂利じやり小砂利こじやりをつかみて投げつくるは不断ふだん親しかりし朋達ともだちなり。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)