小春日こはるび)” の例文
ときふゆ小春日こはるびかへざきにもあや何處いづこにかたる。昌黎しやうれいきつおもてにらまへてあり。韓湘かんしやう拜謝はいしやしていはく、小姪せうてつ藝當げいたうござさふらふりてしよまずまたまなばざるにてさふらふ
花間文字 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
唯冬とのせめぎ合ひに荒荒しい力を誇るだけである。同時に又椎の木は優柔でもない。小春日こはるびたはむれるくすの木のそよぎは椎の木の知らない気軽さであらう。椎の木はもつと憂鬱である。
わが散文詩 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
小春日こはるび曇硝子くもりガラスにうつりたる
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
幽遠な小春日こはるびのしごとで
忘春詩集:02 忘春詩集 (新字旧仮名) / 室生犀星(著)
実は小春日こはるびあかるい街道から、と入ったのでは、人顔も容子ようすも何も分らない。
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
這奴しゃつ窓硝子まどがらす小春日こはるび日向ひなたにしろじろと、光沢つやただよわして、怪しく光って、ト構えたていが、何事をか企謀たくらんでいそうで、その企謀たくらみの整うと同時に、驚破すわ事を、仕出来しでかしそうでならなかったのである。
革鞄の怪 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)