將棋しやうぎ)” の例文
新字:将棋
初冬の夕陽が這ひ寄る縁側、今までガラツ八の八五郎を相手に、將棋しやうぎの詰手を考へて居る——と言つた、泰平無事な日だつたのです。
と、將棋しやうぎに、またしても、おけにるのが、あら/\、おいたはしい、とわか綺麗きれいどころが、畫伯ぐわはくふとまたしきりむ。
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そのうへ趣味しゆみひろく——たとへば最近さいきん、その三上みかみ對手あひてとして、いいとしをしながら(失言しつげん?)將棋しやうぎ稽古けいこしかけたりしてゐる。
「飛んでもねえ。あつしが勝負事の大嫌ひなことは、親分も知つて居なさるでせう。挾み將棋しやうぎでも、ジヤン拳でも勝つたためしがねえ」
料理屋れうりや經營けいえいしたり、子供こども芝居しばゐしたり、大衆物たいしうものもかくし、現代物げんだいものもいゝし、戲曲ぎきよく將棋しやうぎ香合かうがふ女人藝術によじんげいじゆつ左傾さけい等々とう/\三上みかみ神出鬼沒しんしゆつきぼつが、辟易へきえきするくらゐに——世間語せけんごからいへば、わか
町内ちやうないわかしゆ陣取ぢんどつて、將棋しやうぎをさす、つ。
祭のこと (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「何しろ莊左衞門といふ人は、町人のくせに學問が好きで、小唄も將棋しやうぎもやらないかはりに、四角な文字を讀んで、から都々逸どゞいつを作つた」
將棋しやうぎの相手がありますから、三日のうち一日は此處で暮します。あの騷ぎの時も、此處に居たやうに思ひますが、お菊さんとお吉さんが錢湯へ行く姿を
縁臺風景——縁臺將棋しやうぎから星の論、怪談噺くわいだんばなし、若い者の間には、幾組かの戀が生れて、噂は秋に持越されるのです。
菊屋の用心棒に入り込んだのは一年前、おべつか將棋しやうぎの敗けつぷりが上手じようずで、主人市十郎の御機嫌にかなひ、今では菊屋の支配人のやうな顏をしてゐますよ。
安全剃刀のなかつた時代、亭主が度々髮結床かみゆひどこへ行つて、將棋しやうぎを指してばかり居られなかつた社會の、それは親しみ深い、つゝましやかな風景の一つだつたのです。
八分通り船を埋めて出た乘合は、先を急ぐともなく總立ちになつたところ、見事なあふりをくらつて、どつと雪崩なだれました。危ふく將棋しやうぎ倒しになるのは免れました。が
將棋しやうぎを指したり、無駄話をしたり、女達が私に水を持つて來てくれたり、どうせこんな淺間な家ですから、寢付かれはしませんが、それでも、横になつただけで、醉もさめましたよ」
雜俳ざつぱい楊弓やうきう、香道から將棋しやうぎまで、何一つ暗からぬ才人さいじんで、五年前先代から身上を讓られた時は、あの粹樣すゐさまでは丸屋の大身代も三年とはつまいと言はれたのを、不思議に減らしもせず
「とんでもない。年期を入れたのはヘボ將棋しやうぎくらゐのもので」