定業ぢやうごふ)” の例文
つくしたれど定業ぢやうごふのがれ難く母は空敷むなしくなりにけり兵助の愁傷しうしやう大方ならずされなげき甲斐かひ無事なきことなれば泣々も野邊の送りより七々四十九日のいとなみもいとねんごろにとふらひける。
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
篠懸すゞかけの木よ、總大將が乘る親船おやぶね帆檣ほばしら、遠い國の戀に向ふはらんだ帆——男の篠懸すゞかけ種子たねを風に石弩いしゆみの如く、よろひを通し腹を刺す——女の篠懸すゞかけ始終しじゆう東をばかり氣にしてゐて定業ぢやうごふ瞑想めいさうする
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
所詮天魔に魅入みいられし我身の定業ぢやうごふと思へば、心を煩はすもの更になし。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
いたつひに病氣となりてたうとう床に着きければ家内の心配大方おほかたならず醫者よくすり種々しゆ/″\に手を盡し看護みとりに怠り無りしかども松右衞門は定業ぢやうごふにや四十二歳を一期となし果敢はかなく此世を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
定業ぢやうごふのわが行末もしらま弓
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
送る家業故をりふれては定業ぢやうごふにて病ひの爲に死す人を見てゐるさへも不便なるにまして非業ひごふの死を遂る有樣は嘸々さぞ/\おそろしき事ならん拙者せつしやのやうに氣のよわき者などは見たばかりでも氣を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)