壮観そうかん)” の例文
旧字:壯觀
伊那丸いなまるは、日ならぬうちに気分もさわやかになった。それと同時に、かれは、生まれてはじめて接した、大海原おおうなばら壮観そうかんに目をみはった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ましてや、このふうがわりの最新式ロケット艇の新月号で離陸せるときは、さぞ壮観そうかんであろう。だからぜひ見たい。
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)
で、そのバタの光沢と金箔きんぱく、銀箔及び五色の色に映ずるところの幾千万の燈明とうみょうとが互いに相照すその美しさは、ほとんどこの世の物とも思えないほどの壮観そうかん及び美観をていして居るです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
今からおよそ十年あまりも前に、広島県安芸あきの国〔県の西部〕の北境ほっきょうなる八幡やはた村で、広さ数百メートルにわたるカキツバタの野生群落やせいぐんらく出逢であい、おりふし六月で、花が一面に満開して壮観そうかんきわ
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
だから二本の煙が大股おおまたにひらいてでて、かたわのはなが顔中にいばっているような壮観そうかんをあらわすのだった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
壮観そうかんとは、このことであろう。中空ちゅうくうにかかる雪の爆布は、だんだんと近づいてきた。こっちからは、車体はすこしも見えない。見えるのは、ただ雪と煙りとだけであった。
未来の地下戦車長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
なんたる壮観そうかん! 空中には、何千機とも知れず、さまざまの形をした飛行機が、入り乱れて闘っていた。そのあたり一帯は、無数の小さい雲の塊のようなものがとんでいる。
地球要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)
見るまに沖の明るみは一だんの火の玉となって、金粉のごとき火のを空にふきあげた。夜のうしお燦爛さんらんめられて、あたかも龍宮城が焼けおちているかのような壮観そうかんを現じた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そしてこの棚の上に、厚いガラスでできた角型かくがたのガラスそうが、一定のあいだをおいてずらりとならんでいるのだったが、その数は、すくなくとも四、五百個はあり、壮観そうかんだった。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それから十五分ほどたって、四隻がてんでに舷側げんそくから火をふきながら、仲よく揃って、ぶくぶくと波間なみまに沈み去ったその壮観そうかんたるや、とても私の筆紙ひっしつくし得るものではなかった。
その有様ありさまは、飛行機の空中分解と、あまりかわらなかったが、しかし、これは、何百というA型人造人間が、一せいに分解して飛び散ったのであるから、その壮観そうかんな光景といったら
人造人間の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
壮観そうかんであった。思いがけない大壮観であった。眼下に見えるクリムスビーの町の上には、照明弾が、およそ二三百個も、煌々こうこうと燃えていた。この屋上にいても、新聞の文字が読めそうな明るさである。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)