國境くにざかひ)” の例文
新字:国境
どのやうな御不足がござりませうとも、堪忍あそばすがお家の爲、このたびは何とぞそれがしをお供に連れられて、まげて國境くにざかひまで御出迎ひを……。
佐々木高綱 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
國境くにざかひましてからは、わたしには東西とうざいわかりません。なが道中だうちうを、あの人買ひとかひれてかれましたのでございます。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
御嶽參おんたけまゐりが西にしはうから木曾きそ入口いりくちくには、六曲峠ろくきよくたうげといふたうげしてなければなりません。そこが信濃しなの美濃みの國境くにざかひで、とうさんのむらのはづれにあたつてます。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
武藏と下總の國境くにざかひを、渡し舟が人を運んだ人煙稀薄じんゑんきはく大昔おほむかしはとにかくとして、あれだけの橋が幾筋も出來上るには、かけなければならない交通と、物資のふくらみとがあつたわけだ。
花火と大川端 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
中津川は美濃の國なり國境くにざかひ馬籠まごめと落合の間の十こくたふげといふ所なり國かはれば風俗も異なりて木曾道中淳朴じゆんぼくふうは木曾川の流と共にはなれてやゝ淫猥の臭氣あり言語ことばも岐阜と名古屋半交はんまぜとなり姿形すがたかたちも見よげになれり氣候も山を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
美濃みの國境くにざかひちかいところに、それがあります。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)