国司こくし)” の例文
旧字:國司
国司こくし岳とあるものは恐らく今の所謂いわゆる甲武信こぶしまた三宝さんぽう山を指したもので、他の少数の著書や地図と同じ誤謬に陥ったのであろう。
秩父の奥山 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
国司こくしでも、郡司ぐんじでも、おれのまねは、よも出来まい。——その下の、かみでも、すけでも、じょうでも、さかんでも、みんなおれにお世辞をいってくるではないか
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
天子てんしさまはたいそうおおどろきになり、伊豆いず国司こくし狩野介茂光かののすけしげみつというものにたくさんのへいをつけて、二十余艘よそうふね大島おおしまをおめさせになりました。
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
昔、智覚禅師ちかくぜんじという人は、初めは官吏であったが、国司こくしとなっていた時に、公金を盗んで衆に施した。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
今歳ことしの正月、長者が宇賀の老爺おじいれて、国司こくしたちに往って四五日逗留とうりゅうしている留守に、むすめは修験者の神秘におかされていたが、そのころになってその反動が起っておりました。
宇賀長者物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
先年御隠居(尾張慶勝おわりよしかつ)が征討総督として出馬したおりに、長州方でも御隠居のさばきに服し、京都包囲の巨魁きょかいたる益田ますだ国司こくし、福原三太夫さんだゆうの首級を差し出し、参謀宍戸左馬助ししどさまのすけ以下をはぎ城に
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
国司こくしと親鸞とのあいだに、なにか話が交わされているらしい。お吉も時々、おそるおそる顔をあげて、親鸞のうしろで答えているかのように見えた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
下顎したあごの出た猿のようなこの老人は、どこへでもしゃあしゃあと押しだして往って、何人たれとでも顔馴染かおなじみになりました。国司こくしたちなどに往くと、十日も二十日はつかもそこにいることがありました。
宇賀長者物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
洛内らくないはこの不安なうわさで、ほこりが黄いろくみなぎっていた。諸国の信徒に、不穏な行動でもないかと、官の駅伝は、諸街道へ向けて、国司こくしへ早馬を送っていた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いいえ、多くの女に贅沢をさせるために、百姓たちの膏血こうけつをしぼることは、隣国の国司こくしにまで聞えています。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)