-
トップ
>
-
命數
>
-
めいすう
運の
星に
懸ってある
或怖しい
宿命が、
今宵の
宴に
端を
開いて、
世に
倦み
果てた
我命數を、
非業無慚の
最期によって、
絶たうとするのではないか
知らぬ。
摧きて我が妻の
疾平癒成さしめ給へと祈りしかば定まり
有命數にや
日増に
勞れ
衰へて今は頼み少なき有樣に吉兵衞は妻の
枕邊に
膝さし
寄彼是と力をつけ
言慰めつゝ何か
食べよ
藥を
踏掛け漸々として
終に天井へ昇り其跡を
板にて元の如く
差塞ぎ先是では
氣遣ひ無しと大いに
安堵なし息を
壓して隱れ居たり斯る惡人なれども未だ
命數の
盡ざる所にや僧の
情に依て危き命を