叛旗はんき)” の例文
一昨年六月、叛旗はんきをたてて籠城以来、その秋になっても、毛利は進出して来ない。冬になっても、年は明けても、形勢は変ってこない。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それをどう斯う云うのは恩恵おんけい深き自然に対して正しく叛旗はんきをひるがえすものである。よしたまえ、ビジテリアン諸君、あんまり陰気なおまけに子供くさい考は。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
その間新政府をよろこばないこれらの叛旗はんきをひるがえした連中は、オロシャ人の侵略に悩まされているカラフトの同胞人を、こちらからもまた、苦しめていたことになる。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
幸いなりもらってくれとの命令いいつけかしこまると立つ女と入れかわりて今日は黒出の着服きつけにひとしお器量まさりのする小春があなたよくと末半分は消えて行く片靨かたえくぼ俊雄はぞッと可愛げ立ちてそれから二度三度と馴染なじめば馴染むほど小春がなつかしくたましいいつとなく叛旗はんき
かくれんぼ (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
叛旗はんき
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
たとえば、六波羅が高氏の叛旗はんきに大恐惶をおこし、急遽、そこの守りに、思いきった非常手段をとりつつあることなど、目に見えるようなのだ。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「変事でござりまする。鳴海の山淵父子が、叛旗はんきをひるがえし、物々しい防備と——熱田口からの早馬にござります」
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
殺し、直ちに、叛旗はんきをかかげて、柴田勢をこの堂木、神明の二塁へ引き入れんと、深くたくんだものに相違ございませぬ
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
布き、門下には吏人やくにんも多く、国には財があります。袁紹叛旗はんきを立てたりと聞えれば、山東の国々ことごとく騒いで、それらが、一時にものをいいますぞ
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
織田方の勇将荒木村重あらきむらしげが、信長を裏切って毛利と呼応し、突然、叛旗はんきを織田の足もとからひるがえしたのであった。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
中国で叛旗はんきをあげているのに——それらの者と一つ穴のむじなにひとしい官兵衛孝高よしたかを、大事な使者につかわすとは
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いやそれよりも、伊丹の領民りょうみんがみな必ずしも、領主の叛旗はんきにたいして、支持をもっていないことも、この町に沈滞ちんたいな気の見える一因であるということもできる。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「村重にしたがって、高槻たかつきの高山右近も、茨木いばらきの中川清秀も、義をとなえ、ともに叛旗はんきをひるがえした」
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
城主の前田治利はるとしは、蟹江城をようして、主人の佐久間甚九郎に叛旗はんきをたて、滝川一益を招き入れて——いまや事こころざしと大いに違って来た——前田種利の弟であった。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いや全面的に、織田との離反を「交渉手切れ」ととなえて、叛旗はんきをひるがえし、城内の毛利加担勢力の急激な擡頭たいとうまかせて、ふたたび協力を芸州吉田の毛利輝元へ申し送った。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今にごらんなさい、隣国の兵が攻めてきますから、その時には、自分の領民だと思っている百姓や町人が、皆、あなたに叛旗はんきをひるがえして、このやかたせかけてくるでしょう
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
葉栗郡はぐりぐんの和田とか、丹羽にわ郡の中島豊後ぶんごとか、清洲きよすで用いられない不平組を語らって、叛旗はんきをひるがえし、ひそかに美濃の斎藤家へ内通していた。同族だけに、始末のわるい存在なのである。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)