さんぬ)” の例文
承はり候あひだなほまた御屋敷へ罷出當人へ達て對面致し度旨願ひ候處御用人安間平左衞門殿を以て仰聞おほせきけられ候には島儀しまぎさんぬる十二月廿二日の夜盜賊たうぞく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
その父を尋ぬればさんぬる平治の乱にちゅうせられし悪右衛門督信頼卿の舎兄民部少輔みんぶのしょう基成とて奥州平泉へ流され給ふ人の乳母子めのとご宮内判官くないほうがん家長いえながといひし人の娘なり
……その仔細しさいを尋ぬれば、心がらとは言いながら、さんぬる年、一ぜん飯屋でぐでんになり、冥途めいどの宵を照らしますじゃ、とろくでもない秀句を吐いて、井桁いげたの中に横木瓜もっこう
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
片岡中将はさんぬる五月に遼東より凱旋しつ。一日浪子の主治医を招きて書斎に密談せしが、その翌々日より、浪子を伴ない、の幾を従えて、飄然ひょうぜんとして京都に来つ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
「十一日。(五月。)夕雨。知事様御事さんぬる五日福山表御発船被遊、昨夕丸山邸へ御著被遊候。」阿部正桓まさたけの入京である。後三日、十四日に「御上大君為御機嫌御伺御出被遊候」の文がある。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
致す者にあらずと泣々なく/\詫言わびごとなしけるを小猿の甚太夫は母に向ひ文藏夫婦はさんぬる十月中萬澤の御關所をまはり道を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
吾一家之外者ほかは、狩谷、川村、清川、其外え御伝示可被給候。唯一途に正真忠信に奉神奉先接人憐物関要に候。尚後便可申候。さんぬる先月廿九日石清水参詣致、別而難有感信致、別而家内之事大安心こゝろをやすんじ候。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
掛て引すゑ九郎兵衞夫婦村役人周藏喜平次木祖兵衞三五郎下伊呂村名主藤兵衞組頭惣體そうたい引合人殘らず罷り出村役人よりさんぬる廿四日節儀せつぎ逐電ちくてんいたせし旨屆け出一同外記げきが出席を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「道純敬啓。御出立の砌は参上、得拝眉、大慶不過之候。御清寧、御道中種々珍事可有之、奉恭羨候。廿日より傷寒論講釈相始候処、諸君奇講甚面白し。輪講の順は星順にて、長短に拘らず一条づつ各講ず。書余後便万々。不具。副啓。さんぬる十七日万笈堂主人頓死。」はなぶさ平吉の死んだ日と
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)