印綬いんじゅ)” の例文
自分が建業を発するとき、呉王は親しくこの身に宝剣印綬いんじゅを授けたまい、しきいの内は王これをつかさどらん、閾の外の事は将軍これを制せよ。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一度宰相の印綬いんじゅを帯びて廟堂に立つや、あたかも天馬空を行くの勢いを以てこの大改革をなし、更に外国に対しても国威を発揚するをあやまたず、かのナポレオンが欧州を侵略するに当っても
選挙人に与う (新字新仮名) / 大隈重信(著)
討匪とうひ将軍の印綬いんじゅをおびて、遠く洛陽らくようの王府から、黄河口の広宗のに下り、五万の官軍を率いて軍務についていた中郎将盧植ろしょく
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そう、そう、よく気づいた。孫権へ驃騎ひょうき将軍、南昌侯の印綬いんじゅを送ってやろう。そして荊州のぼくを命ずと、発表するがよい」
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼はただその日、劉備玄徳に勅使が下って、正式に徐州のぼく印綬いんじゅを拝したと聞いたので、その祝辞をのべるために、玄徳に会いに来たのである。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ついてはこのしおに、閣下をも、五大将軍の一人に列せられました。ありがたく印綬いんじゅをおうけ下さい」と、いった。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
むしろこの際、に隠れたる大人物を挙げ、これに印綬いんじゅを下し給うて、孔明をして窮せしめるにく策はありません
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
郝昭は太原たいげんの人、忠心凛々りんりんたる武人の典型である。その士卒もみな強く、くに先だって、鎮西将軍の印綬いんじゅを拝し
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
式場に三重の壇を築き、五方に旗を立てて、白旄はくぼう黄鉞こうえつ兵符へいふ印綬いんじゅなどを捧持する諸将の整列する中を、袁紹は衣冠をととのえ、剣をいて壇にのぼり
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
袁尚は、間一髪かんいっぱつの危機を辛くものがれて、中山ちゅうざん(河北省保定)方面へ逃げ走った。その時印綬いんじゅ旗幟はたじるしまで捨てて行ったので、曹操の将士からよい物笑いにされた。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
面々、印綬いんじゅをうけて退出した。ところがその夜、七人のうちの董衡とうこうが、ひそかに于禁をたずねて云った。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おまえはまぎれもなく景帝けいてい玄孫げんそんなのです。この支那をひとたびは統一した帝王の血がおまえの体にながれているのです。あの剣は、その印綬いんじゅというてもよい物です
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
即ち、その時から彼は平原へいげんしょうとして、ようやく、一地方の相たる印綬いんじゅを帯びたのだった。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして呉王孫権手ずから剣を授け、また白旄はくぼう黄鉞こうえつ印綬いんじゅ、兵符などすべてをまかして
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかも優渥ゆうあくなるみことのりと大将軍の印綬いんじゅを賜わってそれに向うのだ。義貞はすでに尊氏を呑んでいた。やがて下された祝酒の一ト口にさえ、それは色になって彼のおもてをほの紅くした。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
印綬いんじゅをついで、呉のあるじとなった孫権は、この時、まだわずか十九歳であった。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
印綬いんじゅを自分にたまわりたいと、あわせて、うていたのである。だが
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、孔明は、玄徳から預けられていた荊州総大将の印綬いんじゅを彼に渡した。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そういうと、彼は、呉の印綬いんじゅを解いて、手ずからこれを孫権に譲った。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いったん魏の印綬いんじゅをうけ、たとえ一百の寡兵かへいなりと、この身を信じて預け賜ったからには、その信に答うる義のなかるべきや。われは武門、汝は匹夫ひっぷ。いま一矢を汝に与えぬのも、武士のなさけだ。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、胸にかけていた県尉の印綬いんじゅを解いて、督郵にいった。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
も突き破れば、一躍大功名、将軍の印綬いんじゅはかたいぞ
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)