勾引かどわかし)” の例文
直ぐにけえしてくんな、けえしようが遅いと了簡があるよ、親に無沙汰で何故娘を一晩でも泊めた、そのかど勾引かどわかしにするからそう思え
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
中にゃあお前勾引かどわかしをしかねねえような奴等が出入でいりをすることがあるからの、飛んでもねえ口に乗せられたり、猿轡さるぐつわめられたりすると大変だ。
葛飾砂子 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
娘子むすめっこさんは器量はいかえ、フウン、親だからく見えるだろうが、七歳なゝつとはいいながら、勾引かどわかしと云うものがあるから、見ず知らずの子を可愛かあいがるのは
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
もうかれこれ三十年以来このかたというもの、もがりも、ねだりも、勾引かどわかしも、引落ひきおとしも何にもしねえ。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おいねえさん、泣いたっていけねえ、おい、おめえ本当に今日ってかつぎ上げたのはひどい、盗賊どろぼう勾引かどわかしと思うだろうが、うでない、実は旦那が又惚れたんだ
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
勾引かどわかしの罪人、御用だッ。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あゝいたえ、突然だしぬけに無闇と蹴やアがって、飛んだ奴だ、手前てめえは訳を知るめえが己達は勾引かどわかしでも何でもねえ、このあまっちょには訳があって旦那に済まねえかどが有るから
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
軟弱かよわい娘を斯様なさみしい処へ連れて参り、はずかしめようと致す勾引かどわかしだな、許し難い奴なれども修行の身の上だから何事も神仏に免じて許して遣る、殺してもい奴だが其の儘許して遣るから
どん/\/\/\林の小路こみちへ駈上りました事でございますから、山之助は盗賊どろぼう……勾引かどわかし……と呼んで跣足はだし追掛おっかけると山之助は典藏に胸をどんと突かれましたから、田の中へ仰向あおむけに転がり落ちます。
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)